短編「乙女と春の桜餅・SIDE乙女」
初めまして。私はこの春から高校生になります、全国津々浦々、東西南北たくさんの新入生の内の一人なのです。新しいブレザーに、紺のチェックのプリーツスカート、それから長い憧れの紺色靴下と、胸元を正す一年生のリボンは赤色です。なんと素敵なお洋服でしょうか。麗しいセーラー服とお別れするのは、幾ばくかの寂寥感を伴う儀式のようでしたが、後輩と先生方々に盛大に送り出して頂いたことですし、いつまでも後ろを向いては居られません。私はうんと顔を持ち上げて、この度の春を朗らかに迎える事に致しました