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火垂るの墓


野坂昭如 1967

『…七月六日、梅雨の名残の雨の中を、B二九が明石を襲い、清太と節子横穴の中で、雨足の池にえがく波紋をぼんやりながめ、節子は常にはなさぬ人形抱いて、「お家かえりたいわあ、小母さんとこ、もういやや。」およそ不平をこれまで言わなかったのに、泣きべそをかいて言い、「お家焼けてしもたもん、あれへん。」…』

こちらアニメ映画になりました。「となりのトトロ」と同時上映だったのですが、あまりにも悲しい映画でしたので、気持ちが沈みました。そして日々の生活が大きな誰かの悲しみから引き継いでいて、成り立っているのだな、と考えさせられました。風化させてはいけない事。忘れていけない事。僕が高校生の頃。何もかも懐かしい。

その頃、友達とよく遊びに出かけていたのが神戸です。都会的で港町の風情も感じる素敵な街です。そして神戸の交通の中心が三宮駅です。華やかで美しい街の駅です。思い出深い。

……清太は焼け跡や、闇市を彷徨った挙げ句、三宮駅構内に居つく。そこで、映画の通り。「野垂れ死に」となります。

何もかも、裏にあるものは、悲しいことばかり。
ですが、目を背けることをしてはいけません。
受け止めていかないと。

自分の悲しみが、人はもちろん、世の中を幸せにしていくんだ、と考えてみる。

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