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「猫檀家」 日本の民話

昔あるところに、寂れた山寺がありました。山寺の和尚さんは、年老いたトラ猫と居眠りばかりして暮らしていました。ある日のこと、トラ猫がいきなり人間の言葉で「お礼をしたい」と言いだしました。「もうすぐ長者の一人娘が亡くなる。」しばらくするとトラ猫の言った通り、長者の一人娘が死んでしまいました。悲しむ長者が葬式をあげていると、式の途中で棺桶が空中に浮き上がりました。どんなに騒いでも、僧侶達が拝んでも棺桶は宙に浮いたままです。そこで山寺の和尚さんが呼ばれました。山寺の和尚さんが、お経を唱えると棺桶はするすると下りてきました。この一件から、山寺へは多くの参詣の人々が訪れるようになり、和尚さんは忙しい毎日を過ごすこととなりました。

「猫檀家」のお話は主に東北地方を中心に日本中にあり、さまざまなバリエーションがありますが、大まかには「寺で飼われていた猫が妖力を使って恩返しをする」というものです。東北地方から西南へ向かうほど「猫檀家」のお話は少なくなっていきます。それらは「ネコは死体を盗む」「老いたネコは火車に化けて葬儀を襲い、亡骸を奪う」といった、日本古来の俗信が背景にあり、特に西南地方では「火車」を封じる呪法が多くあります。年老いた猫は恐れの対象なのです。猫が出てくる怖いお話は、西南に行くほど増えていく。

ここ信州ではどうなのでしょうか。いつかじっくりと調べてみます。

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