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「スロウ・ファインド・アウェイ」第2話


洋館の主になったマドカは、次第に変わっていきました。

「ねえ、これ気に入らないから捨てて。」

「お嬢様。それはお母様が大事にしていらしたティーカップじゃありませんか。」

「いいから捨てて。目ざわりなのよ。」

「ですが...............。」

「この館の主は私よ、言うことを聞きなさい。」

「..........はい。お嬢様。」


マドカは洋館にあるあらゆるものを何かと理由をつけては捨てるよう召使いに命じました。

亡くなった2人の形見すらも捨てようとするマドカを見るに見かねて何人かの召使いが説得を試みましたが、聞く耳を持たず召使いに暇を出してしまうのです。

「お嬢様、先日訪ねてきたご友人の方からお手紙です。あまり外に出ていらっしゃらないから、皆お嬢様を心配しているご様子ですよ。」

「私を心配しているですって?そんなこと誰も頼んでないわ。手紙は捨てておいてちょうだい。」

「そんな!ご友人がお嬢様に心を込めて書いた手紙なのですよ?」

「知ったことではないわ。誰も私の気持ちなんて理解できなもの。」

マドカが捨てるのは物だけではありません。

かつての友人や召使いたちとの繋がりすらも捨てるようになりました。


「どうせ大切にしたところで私の元から離れていくのだもの。それなら最初からそばにない方がよっぽどいいわ。」

召使いたちがマドカのいき過ぎた捨離に困り果てていたある日。

コンコン、と洋館のドアを叩く音がしました。

召使いの1人が返事をしてドアを開けてみると、そこには白髪で青い目をした男の子が立っていました。



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