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夏なので怖い話

まず初めに、これは怖い話になるのか分からない。
一度夢を見た気がする。
あちら側の世界が薄っすら見えた気がするんだ。
僕は現在36歳だが、それを覚えていて今でも頭から離れない。

何の事か分からないと思うので、小学生の時の話からしようと思う。
小学生の頃、僕はわりかしやんちゃだった。
仲が良かった友人Aが僕よりやんちゃだったので、
その影響を受けていたと思う。
"悪友"に近い。先生も確かそう言ってた。
当時はその言葉の意味もよく分からなかったが。
小学4年生になり林間学校で、山奥の民宿に泊まった。
どこの県かは覚えていない。
卒業アルバムを見れば分かると思うが、滋賀とか奈良辺りだったと思う。
バスで民宿に着く時、変電設備のある施設(変電所?)が近くにあったのが見えた。
消灯までの時間、大部屋でクラスメイトと枕投げやトランプ等を
しながら過ごしてると、先生に叱られ早く寝るよう言われた。
布団にもぐっていると、友人Aが話しかけてきた。
部屋を抜け出して変電所に忍び込もうと彼は誘ってきたのだった。
初の学校のお泊りで浮かれてた僕は、冒険心が抑えきれず、
皆が寝静まったころ、僕と友人Aは夜な夜な部屋を抜け出して、
変電所に忍び込んだんだ。
どうやって入れたのかは分からないが、
防犯カメラも普及してないし、セコムとかもない時代だし、
窓から入ったのか?扉の鍵がたまたま開いていたのか?
分からないが、とにかく侵入した。
非常口の外灯しか付いてなく薄暗い廊下を歩いて、
変電設備の装置がたくさんある部屋を見つけた。

そこで友人Aが急にボタンを無造作に操作して、
僕はやめるよう言うんだが、聞くはずもなく、
その拍子でふと足を滑らせてしまい、変電装置に触れた。
そこで僕の記憶は途切れる。
・・・で、おしまいだ。
「えっ」と思われたかもしれないが、
本当に僕の記憶はここで途切れて意識が飛んでいる。
おそらく体に一気に高圧電流が流れて、
そのまま意識不明の重体になってしまったのだろう。

でも、僕は20数年前の過去を思い出して、今こうして書いている。
生きてるから書いてるんじゃ?
あの時、僕は間違いなく変電所に行った記憶はあるんだ。
薄暗い変電設備の部屋の光景を未だに覚えている。

その後、これもいつか分からないが、夢を見た。
知らない天井で病室のような場所で眠っていて、
母が心配そうにこちらを見ていた。
そしてずっと何かを喋っている。
しかし目が覚めると、こちら側に戻って僕は過ごしている。
小学5年生になったし、中学校、高校と卒業した。
ずっと年を重ねている。
あれから20数年経った。
たったの一度きりあの夢は見なくなった。
でも本当はあちら側で僕は小学4年生の頃から未だにずっと眠っていて、
こっちの世界が実は夢なんじゃないだろうかと。
そうではないかもしれない。
でもその確証があるのだろうか?
あの時見た夢と、確かに変電所に忍び込んだ記憶。
本当の僕は今どこにいるんだろう?
もう一度あの夢を見ることはあるのだろうか?

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