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地元とカラスのふん。

私の地元は、夜にビールの缶を持った人たちが所々たまるような陽気な街。

転勤族で移動し続けて、久々に戻ってきたこの街の雰囲気を見て、私は「治安が悪いなあ」と思ってた。

夜は怖いから走って家まで帰るし、昼間歩いていても、なんとなく怖いなあと思ってしまう。


そんなある日のこと、カラスにふんを落とされた。

私は、なぜかよく、カラスにフンを落とされる。

(どこにいるカラスにも落とされるわけではなくて、地元のカラスによくフンを落とされる。)

これは子供の頃からなんだけども、この時は一番悲しくて、買って初めて着たワンピースにフンを落とされてしまった。

新しい服にウキウキで、ギリギリスキップじゃないくらいのノリノリで歩いていたから、浮かれてるなとターゲットにされてしまったのかもしれない。

その時はもうすごくショックで、電車に乗りながら一生懸命ティッシュでスカートを拭いていた。

これから待ち合わせなのにスカートになんかついてるし拭いたせいでびしゃびしゃになってしまっている…。これはやばいなと拭いてたけどティッシュも底を尽きてしまいそうだし遅刻していくしかないかなこれは…。
と思っていた。

そしたら隣の人が、「うん、着きましたね。」って言って、ティッシュを一袋そのままくれた。

私はどん底にまで気分が下がっていたけど、その人がそんな一言をかけてくれたおかげで、沈むどころか家を出た時より元気になった。

そこから2駅分くらい、フンを落とされた!運がついた!と色々話して、さよならした。

こんなに人を元気付けられるなんてカッコ良すぎるだろ!って思って、私も誰かがふんを落とされていたら、同じことをしたいと思った。


そんなこんなで、この日から、「地元の人たち、怖そうに見えて実はみんな心の優しい人たちなのかな」と思うようになった。

実際、ちょっと勇気を出して話してみると、みんな見かけによらず、めちゃめちゃいい人たち。人生相談してしまうこともあるくらい。



カラスはもしかしたら、私が浮かれてたからじゃなくて、地元に変な偏見を持ってたからわざとふんを落としてくれたのかもしれない。

今思えば小学生のあの時も、学校のプールの授業をズル休みした帰り道にフンを落とされた。

私もまだまだ、修行が足りないな。自分を磨いていかなければ。

もし良くない方向に私が進んでいたら、きっとまた、カラスが私にフンを落としてくれるんだろう。


カラス先輩、これからもよろしくお願いします。


ということで、私は今日もカラスに見守られ、電線を避けて街を歩く。



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