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詩集 月光読書 弍

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何気なく思いついた詩を書いていきます。最初の月光読書はノベルデイズにあります。https://novel.daysneo.com/author/lunagon/
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#詩

【散文詩】ジャック

昨夜の子供は何処へ行ったのかとジャックは訊いた。 それは観ている映画の話だったけど、余分なお酒などないのだと 何度も言ったのに真っ暗な中、一人酔っ払って頷いている。 いつだったかカナダのナイアガラに行った時 美味しいジュースみたいなワインを飲んで喜んだ二人の 思い出なんて、きっと忘れているのね。 そんなことを考えながらキッチンで私も一人でタバコをふかしながら お酒を飲んだ。 ありがとうと大好きも、あの頃は自由気ままにお互い言い合って 笑っていたのに長い歳月が変えてしまっ

【詩】海の中聴こえる

君の声 聴こえる 微かに たしかに 聴こえる 小さく 小さく 途切れそうで 哀しみに 満ちた声 手を握って 引っ張り出そうと 海の中 荒れ狂う世界で たったひとり 生きている 君の声 聴こえる わかっているよ 気づいているよ 必ず 助け出すよ 待っていて

【詩】冷たい君の涙

冷たい君の涙 本当に僕が好きなの 過去に戻って束ねた光 君は笑っていた キスすれば 恥ずかしがって 俯いてたね 冷たい君の涙 本当に僕が好きなの 風船のように想いが 風に乗って飛んでいくよ 本当は心がもうここにないって わかってる わかってるけど 手放せない ごめんね 臆病で 困った顔しないで 勇気が出たら 君を解放するよ 冷たい君の涙 わかっているよ 次に泣くのは僕だって その時はきっと 温かい涙が出るよ 僕のためじゃなくて

【詩】無題

【詩】無題 あなたの横顔が美しすぎて さよならが言えない 昨日のその前も同じように 同じ場所で息をして生きた 何年待てば その手をにぎる事ができるのか 百年待てば もう気持ちも風化してしまうだろうか あなたを待って どのくらい経っただろう それは長くて遠い道のりだった やっと出会えても お互い愛が消えていて 一緒にいることしかできなかった あなたの横顔はいつも美しくて 今だにさよならが言えない どうか先に旅立つことを許して欲しい さよならは

【詩】寂しい時に聴こえてくる音楽は切なくて

寂しい時に聴こえてくる音楽は切なくて 愛を問いかけ 愛を知り 愛によって裏切られる 世界は荒廃するばかりなのか 気分次第で 人を許せず そして許し 君たちは前に進む そんな中救ってくれるのは どんな救世主なんだい 寂しい時に抱きしめてくれる手もない 悲しい時に一緒に泣いてくれる人もいない 孤独の中生きる 新しい出会いを信じて生きる それがいまの世界 順序よく並ぶ行進が テレビに映ってる それを見て腹正だしく感じるのは 病んでいるからだろうか 蝿が頭の上を飛んで

【詩】夢

夢みたいなこと 何時迄も考えて 子供の時間は終わったんだよ 大人になった君は僕にそう言った ランドセルに詰め込んだ たくさんの思い出たちは 宝箱にしまわれて出てこない そろそろ先に進もうか だってこのままじゃあ 辛いだけでしょう? 君は沢山の常識を鎧にして生きている とてもじゃないけど壊せそうにないな 夢なんて言葉で終わりにすることのできない自分が 空回りして体が宙を浮きそうになる 愛だけじゃ食べていけないって 聞いたようなセリフを吐いて 追いやってしまうのを許した

【詩】枯れ葉が僕の頭に絡んできて想う事

枯れ葉が僕の頭に絡んできて想う事 風が吹いてる 心の隙間に棲みついた陰が 僕の心を摩耗する 明後日のほうへ向かっていく 情けない情景が 今日の自分を構成している 誰かに触れたいわけじゃない 誰かに触れてほしいんだ そんな我侭な台詞 言ってみたくて 街を彷徨う

【詩】独り道

【詩】冷たい君の涙 本当に僕が好きなの

冷たい君の涙 本当に僕が好きなの あの丘にのぼって考えてみても 答えなんてでてこないんだ ああ 好きなのに 言葉がうわずって風にのってしまう ああ そばにいたいのに 君の手が離れてゆく 冷たい君の涙 本当に僕が好きなの 夜空に浮かぶ月を見て とぼけた声で叫ぶんだ ああ ありがとうって 素直にいえないのは悪い癖で ああ そばにいたいのに 君の背中が冷めている 冷たい君の涙 本当に僕が好きなの 僕の心をそっと撫でて欲しい そっと撫でて欲しい これにはメロディ

【詩】昼間、友人と語る

諦めもせずにやっていることが 誰かのためになるなら いったん時間を止めて そしてまた歩き出したらいい 空に散りゆく雲が 明日もあさってもあればいいと思うなら 少し早歩きになるのもいい 君はそうして いつも明るく 楽しく過ごして欲しい 友人と語らって日々のパンを食べて…… 僕はその日暮らしの しがない物書きで いつもあくせくいってるわけもなく 暇人じゃないような暇人で その辺を闊歩しているのさ そして君に出逢うとこういう 「やあ、お日柄もよくなんてな」

【詩】冷たい君の涙

冷たい君の涙 本当に僕が好きなの 風のように言葉が舞っていく 明日どこかへ行きたいななんて 言えるはずもなく 部屋に一人佇む すぐそこで 会える気がする 今日も黄昏を見に歩きに行こうか 冷たい君の涙 知っているよ 片思いだって いつか温もりを感じたいなんて それはただの独りよがりさ

【詩】太陽と月

緩やかに絶望していく姿は惨めだろうか 誰かに愛されることがなかった僕は 君のいうことが理解できない されるがままの体が熱くて それでも虚無が襲ってくる なにをされても僕は暗闇の中で踠く もっともっと欲しいと あめ玉を欲しがる子供のようになる 渇きは癒えず またあの砂漠へ引き戻ってしまう それが怖くて君を求めてしまう ごめんよ本当はこんなことしたくない 求めて求められて 素直に愛し合うことができれば どんなに幸福だろう 僕ばかりが片思いみたいに君を欲している そんな僕を

【詩】雪が降っている

雪が降っている ちりちりちり 外は吹雪いているのに 暖かいなか ちりちりちり 貴方が隣で居眠りをする 片手のコーヒーが いまにも落ちそう 寝息が聞こえてきた 愛の囁きなど とうに忘れ 息を潜める ちりちりちり 雪が降っている 静寂の中にいる

【詩】放漫な肉体の中の悪魔

水飛沫がとんで顔に撥ねた 些細な言葉で心が疲労する 燻し銀の眼鏡がズレて落ちそうで 人さし指と親指を使って徐に戻す そんな仕草が心を摩耗する 貴方はされど ここには堕ちてはこない 頂に登って上目遣いで眺めてる 興奮で息づかいが荒くなる 最高潮に達すると冷酷な姿に変貌する それが誰かといわれれば それは誰でもない 自分なのだと思い知る 季節外れの外套が 物語っているのは 不自由で侘びしい己 引き摺って歩くには重すぎる岩