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うつしおみ 第52話 魂の原罪

真実を知らないということが罪であるなら、
すべての魂は罪を背負っている。

罪を背負っているということすら自覚が薄く、
この理不尽な世界を嘆いている。

いまだ真実を知らないが、
それを見つける努力はしていると魂たちは声を上げる。

だが、魂たちは何が真実かを知らず、
ただ手当たり次第に世界を掘り返しているのだ。

そこで美しい鉱石や金塊を見つけると、
それを密かに懐に忍ばせ心躍らせる。

宝物で重くなった魂たちは、
それでもまだ満足せずに、穴だらけの世界を彷徨う。

魂はその重さに動けなくなり、
そこで初めて自分の罪深さを身にしみて思い知るのだ。

だが、罪とは光り輝く宝物の重さのことではなく、
自らの真実を知らないことだ。

長年に渡って忘れていた何が真実かに向き合ったとき、
魂の内で古い扉が開いていく。

魂は扉の向こうの真実に触れて、
自分にははじめから罪などなかったと知るのだ。

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