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うつしおみ 第36話 落下の呪縛

夏の朝、薄日差す雲間から、
光の筋のような雨が絶え間なく降っている。

天に向かった魂たちが水滴となって世界に戻され、
また時の旅をはじめるのだ。

その魂たちは明らかに何かを知らなかったため、
天の扉を潜ることはできなかった。

遠い空を見上げてため息をつき、
いつかその扉を超えていく日に思いを馳せる。

世界の呪縛を解き放てれば、
まだ見ぬ漆黒の天に住まうことができる。

その呪縛を解く方法をこの旅で見つけ、
こうして落下する循環を終わらせるのだ。

魂たちは旅した世界の色彩を身にまとい、
天に上昇する日を待ち焦がれる。

だが、その色彩が呪縛だと気づかなければ、
世界に戻る運命は変わらない。

結局のところ、この世界は美しく魅惑的で、
それを手放すことに抵抗があるのだ。

色彩にあふれる世界の夢は魂たちを惹きつけ、
漆黒の天は眠ったままでいる。

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