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うつしおみ 第2話 夏の静けさ

人影まばらな公園の夏の日の午後は、
静けさが蝉の声を飲み込んでいく。

ひとり歩けば道は枝分かれして、
そのたび私は思うままにどちらかへ足を運ぶ。

どこに行くのか分かっているわけではなく、
それでも私は歩くことを止められない。

そうして私は何度も何処かに行き着いて、
またそこから道を歩き始めるのだ。

歩くことに疲れ果て芝生に寝転び空を見上げれば、
白い雲が悠々と流れて私を追い越していく。

結局、正しい道などないことを知って、
私は戸惑いとその自由さにもがいて空をつかもうとした。

夏にいれば秋が来るのを待ち、
季節は美しい軌跡を残しながら私の目を欺くのだ。

私が世界の真ん中を見つけたとき、
私は静止した時間の果てしない海原を眺めていた。

世界と時間は慌てて私を飲み込もうとしたが、
逆にそこで私が世界と時間を飲み込んだ。

私の前から道は消えて、
夏の静けさのまま止まった時間がもう歩くことはないと私に告げた。

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