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「ずっと『普通』でいいのに。」 第3話
しばらくして部屋のドアをノックする音。
「はーーい」
ドアを開けて恐る恐る部屋の中を覗いている友梨奈。
その顔を見て真由は自然と笑顔になった。
(あの時わたしを助けてくれて本当にありがとう、あなたのお蔭でその後の人生を楽しく続けられているよ。記憶が無いあなたにこの気持ちは押し付けられないけれど)
困り顔で無言で立っている友梨奈。
真由は友梨奈の手を引っ張って部屋の中に入れる。
「ねぇ、わたしたち
「ずっと『普通』でいいのに。」 第2話
あれは小学校に上がる前の春休み。
そのお祝いだったのかもだが、真由は小さかったから両親の意図は全く覚えていない。
生まれて初めての大きな船での旅行。
最初はワクワクで船上のデッキで超はしゃいでいた真由だったが、夜になる頃には気持ち悪くなって来て、翌日の朝にはもう絶えず身体が揺れてる感に耐えきれない状態になり、最終的に船室のベッドで寝たきり状態になった。
寝てても気持ち悪いなんて、もう二度と船で旅行
「ずっと『普通』でいいのに。」 第1話
古代より菩薩が発揮したとされる神通力等の特殊能力。現代では昔のファンタジー世界の設定だと思われている。
そんな特殊能力を陰で脈々と受け継いでいた一族の一つ、木花家。その末裔、女子中学生の木花友梨奈は『普通』の幸せを望み、自分の能力を全否定していた。
本人の意思に反して、従姉妹のあかねに事件、事故に巻き込まれ、やむなく能力を使ってしまったり、学年一の人気者中瀬真由が友梨奈に子供の頃助けられたとカ