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柴犬の消しゴム【20240802】

 タイトルの付け方が未だ分からない。

 今日はドタバタだった日。学校へ昼過ぎへ行く予定だったのに、文化祭の準備が滞りなく進んでいるか、クラスメイトからの連絡が来るたびに不安になって、昼前に学校へ到着した。けれど、教室の中で携帯をいじっていたクラスメイトは、一言わたしに。
 今日、そういうのしないことになった。
 ため息が漏れた。よく話す子が教室にいてくれたから辛うじて助かったものの、夏休みの貴重な二時間を潰さないといけなくなった。
 宿題したかったな、予定通りに動けばよかったな、クラスラインでその旨を流すくらいしてくれてもいいのに。心の中では、もう解消できない文句ばかり溜まっていく。
 クラスの子はだんだんと別の用事のために教室を離れていく。無理に一人を引き止めて、三十分ほど付き合ってもらった。そしてぼっちになったわたしは、図書室で暇を潰すことにした。わたしは、学校の中ではどうしても暇を愛せなくなる。図書室の中
では、三年生らしき人達が真面目に勉強している。筆箱一つで学校に来たことが大きな間違いであったように思えた。『大家さんと僕』みたいなタイトルの四コマ漫画を読んで、けれど時間を気にしてばかりでほとんど集中できず、二時になったらすぐ図書室を抜けた。
 部活に参加し、相変わらず上達は程遠く、先輩や同級生に気を使わせながら、ひとり向き合ってみた。できるようになった、と思ったら、次の瞬間にはできなくなっている。その繰り返しで、さすがに心が折れそうだった。
 家に帰って、さすがに勉強しなければならないと思いつつ、ほとんどしなかった。ようやく重い腰を上げて、机の前に座った。
 家で勉強するときには柴犬の消しゴムを使っているのだけれど、文字を消すたびに柴犬の顔に炭がついて、笑えるような表情を見せてくる。そのたびに、もうちょっと頑張ろうと思ったり思わなかったりするそんな日だった。


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