【吉野家HD】2023年2月期第3四半期決算分析
本日分析する企業は「うまい、やすい、はやい」でお馴染み吉野家HDの2023年2月期の第3四半期です。
「吉野家」「すき家」「松屋」皆さんはどこの牛丼が好みですか?
私は、牛丼だけを食べるなら吉野家派です。
何かトッピングして食べたいときはすき家を選んでいます。
吉野家のつゆが和風な味わいでとても好きです。
七味をたっぷりかけてかきこみます。
ちなみに、キャッチコピーにやすいが入っている吉野家ですが、牛丼チェーン各社の中では一番値段が高くなっています。
<牛丼チェーン各社の並盛価格(税込み価格)>
吉野家:448円
すき家:400円
松屋:380円
それでは、吉野家HDについて深掘りしていきましょう。
【吉野家HDについて】
吉野家HDは牛丼「吉野家」とうどんの「はなまるうどん」の2大ブランドを看板に、創業120年の歴史を持ちます。
国内外で41のグループ会社を保有し、グループ連結売上1,536億円、2,845店舗を経営しています。
1975年から海外展開をしており、2012年には海外500店舗を達成し、現在は960店舗以上を運営しています。
※2022年2月末時点
今回はその中でも牛丼チェーンの「吉野家」について分析していきます。
2023年2月期第3四半期(2022年3月1日から2022年11月30日まで)
【経営数値ピックアップ】
セグメント売上高 84,455百万円(前年同期比7.0%)
セグメント利益 4,349百万円(前年同期比-16.3%)
出店 17店舗
閉店 11店舗
店舗数 1,196店舗
デリバリー対応店舗 1002店舗(前期末+49店舗)
<既存店前年同期比(2022/10~2022/12)>
価格改定後3カ月間の既存店前年比平均
売上高 105.1%
客数 95.7%
客単価 109.9%
【定性情報ピックアップ】
〇まん延防止措置の解除により店内飲食が回復
〇高付加価値商品(定食・御膳・すきやき)の販売開始
〇外販事業(冷凍牛丼の具「トク牛サラシアプレミアム」)の販売開始
〇10月に主力商品の価格改定(牛丼並盛 388円 → 408円)
〇テイクアウト専門店を4店舗出店
【分析・解説】
〇客数前年比は8月以降前年比を下回っている。
3月にまん延防止措置が解除され、人流が回復し客数は前年越え、売上は110%を維持していましたが、2022年8月から既存店の客数前年比が91.4%まで落ち込んでしまいました。
そこから回復傾向にはあるものの、10月の値上げの影響もあり、前年比まで回復できていません。
〇値上げによる客数減少は見られるが売上は堅調
高付加価値商品の販売や10月に主力商品の値上げを行なったことで通期で客単価前年比が107.7%まで推移。客数減少は見られるが、売上高で考えると前年同期比107.7%と堅調に伸ばしています。
〇『生娘シャブ漬け発言』の事件の影響は見られない。
2022年4月に事件が起きるも売上前年比は4月で113.3%、5月で111.9%と堅調な推移が見られています。
競合である松屋HDの売上前年比も、4月108.0%、5月111.2%の点を見ると、不祥事よりも人流回復の影響が勝ったと言えます。
〇原材料費・人件費の高騰でセグメント利益は減益
売上は堅調だが、昨今の円安・原材料の高騰・人件費の高騰の影響からセグメント利益が減益となりました。
値上げによる変動費のコントロールは試みていますが、コスト増の影響がまだまだ根強いと思われます。
毎日のニュース解説でもお伝えしていますが、コストの増加に見合うだけの価格転嫁はどこの企業にも必須になっていますね。
松屋HDとの比較
今回は牛丼ブランド単体で調べてみましたが、前回の松屋HDはHD全体での分析を行っていましたね。
単純な比較はできませんが、比較して分析していきましょう。
〇売上はどちらも堅調。松屋は増益・吉野家は減益だが、利益率は吉野家が圧倒。
<売上高>
松屋:78,940百万円 112.2%
吉野家:84,455百万円 107.0%
<営業利益>
松屋:1,457百万円 (前年同期比 +3,958百万円)
吉野家:4,349百万円(前年同期比 -708百万円)
<営業利益率>
松屋:1.8%
吉野家:5.1%
前年からの利益を比べると松屋が増益で吉野家が減益に見えますが、コロナ禍の影響で2022年期に利益が出ていなかった松屋が回復しただけで
吉野家が悪くなったというわけではありません。利益率で考えると吉野家の方が高く維持できています。
コスト高で価格転嫁が間に合っていないと両社あげているが、牛丼の価格を比較しても吉野家の方がコスト高に対応できているようです。
〇松屋は客数は前年比を越えているが、吉野家は値上げ以後客数の回復に時間がかかっている
<既存店客数前年比 2022/3~2023/1通期>
松屋:105.5%
吉野家:99.0%
各社の22年度月次報告を見比べると、吉野家は8月以降は客数前年割れしていますが、松屋は常に前年越えの客数を獲得しています。どちらも値上げを実施していますが、今のところ松屋はそれほど影響が出ていないようです。しかし、利益率の悪い松屋は更なる価格転嫁を迫られますので、今後の値上げが客数に影響してくるかもしれません。
次回予告
次回はゼンショーHDの「すき家」について分析していきます。これで牛丼チェーンの大手3社が出そろいますね。
すき家の回では業界3社の比較も行っていきたいと思っておりますので、是非一緒に牛丼業界について知識を深めていきましょう。
来週以後の企業分析の記事は1記事100円の有料記事にさせていただきます。
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また、飲食業界を目指す方・学生へのキャリア相談・店舗の相談などもできるプランも用意しておりますので、お悩みのある方はそちらから是非ご相談ください。
【参考記事・HP】
https://www.yoshinoya-holdings.com/ir/library/valuable.html
https://note.com/sora_wis/n/n70b381c82062?
magazine_key=m6987a8c229c5#c330135e-cdec-4028-946f-d61a5b8f4a92
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