子供の気持ちに寄り添えない親

兄が、ひきこもりとなった原因は、兄自身にあるのか？両親にあるのか？
それは、私にもはっきりとはわかりません。

ただ、今、兄が長期ひきこもりとなっている原因の一つは、父親がこの問題にちゃんと向き合ってこなかったことだと思っています。

兄が、何をどのように考えているのか？
兄の気持ちに寄り添うことはしなかったのではないかと思います。

父親は、昔から、自分が興味がないことに関しては、いつも「しょうもない！」と言うのが口癖でした。

私に対してもそうでした。
私は、クラシック音楽を聴きにいくのが唯一の楽しみなのですが、出掛けようとすると、いつも
「どこ行くん？また音楽か？！しょうもない！」
と言ってきます。
出掛ける前にいつも嫌な気持ちになります。

私が高校3年生の進路を決める時も、地元の大学の音楽科に行くか、県外の大学の英文科に行くか迷っていたのですが、父親はもちろん音楽科なんてとんでもないと大反対でした。

まあ、その時は、私も昔からピアノを習ったりやめたりの繰り返しで、あまり上手ではなかったので、音楽科に行く自信もなかったという事もあり、英文科に行くことに決めました。

でも、大人になって演奏会に足を運ぶようになり、ピアノをやめてしまったことをとても後悔し、あの時音楽科へ行っていたらなあとか、バイオリン習いたかったなあ等と思うようになりました。

それで、先日、
「あの時、やっぱり音楽科に行かせてくれたらよかったのになー。」
と父親に何気なく言ったところ、また本気で、
「そんなもん、音楽なんかで食っていけるか！」
と怒鳴られました。

最終的に英文科に行くと決めたのは私自身だし、今から音楽科にいけるはずもなく、ただ
そんなに音楽が好きなら、行かせてやればよかったなと一言言ってくれるだけでよかったのです。ただ、それだけでよかったのです。

ここで、一番最初の記事で、長男と父親が喧嘩になり、それ以来父親が家に来なくなったと書いた理由について書きたいと思います。

実は、私と息子たちは、近々引っ越す予定になっているのですが、その前に、実家に置いてある荷物を取りにいきたいと言いましたが、母親が、二階から全部一階に下ろしておくから待ってくれと言ってきました。

そして、数日後、取りに来てもいいと言われ、実家に荷物を取りに行くと、二階に置いてあったキーボードやエレキベースや座布団なども下ろしてくれていました。
アルバムもたくさんあり、全部車に積んで持って帰りました。

でも、取りに来てもいいと兄にも確認していると言った割には、15時頃取りに来てと時間を決められ、私が荷物を積んでいる間も、父親はなんだかそわそわしていて、何度も、「もうこれだけか？もういいか？」
と急かしてきて、なんだか不思議に思いましたが、その日は何も聞かずに帰りました。

家に帰ってアルバムを見ると、それは殆ど私のアルバムで、息子達のは一冊ずつしかありませんでした。
母親から、二階にまだ一冊くらい長男のアルバムが残ってるとは聞いていましたが、一冊なんてことはあり得ないので、次の日、もっとあるんじゃないかと問いただすと、
「それはもう取れない」　
と言い出したのです。
なんでも、そのアルバムを入れてある箱の上に、兄が荷物をたくさん置いてあるからとのことでした。

母親は、本当はもっとたくさんアルバムが残ってるとわかっていたけど、一冊くらいならば私が諦めると思い、一冊と嘘をついたようなのです。

私のアルバムはどうでもいいのですが、息子達のアルバム、特に七五三の時に写真館で撮った写真は取りたかったので、母親に、
「何とか取れない？」
と聞いたところ、父親が、
「もういい！もういい！」
と怒り出しました。
「もういいことないんやって！」
といくら言っても、
「もういい！もういい！二階には二度と上らんって言ったのに上がれるか！」
と。

そこで、わかりました。
母親が二階に上がったことを兄が知って怒り、父親が兄に
「もう二度と二階には上らないから！」
と言ったということ。
兄が私に取りに来てもいいと言っていたということも嘘で、兄がお風呂に入っている時間に、こっそりと荷物を持って帰らせようとしたということ。
だから、私が荷物を取りに行った時、父親が妙に慌てていて、私を急かしたのだということ。

私が、何度も
「もういいことない！アルバムは要る！」
と言っても
「もういい！」
と言って聞き入れないのを横で聞いていた長男が、とうとうブチ切れて、
「いいことないって言ってるやろー！さっさと下ろして来い！解決する解決するって、どれだけかかってんねん！いい大人やろ！さっさと解決しろ！」
と怒鳴ったのです。

それに対して、最初は
「迷惑かけてすまんな。」
と言った父親でしたが、終いには、
「わしが悪いんだろー！もう、お前とは二度と口きくことはない！」
と叫んで帰っていってしまいました。

長男は、父親が私の気持ちを全然考えていないと腹が立ったようです。
その日以来、父親はうちに来ることはなくなりました。

父親は、自分が生きている間は、兄を怒らせないようにしたいのです。もう、その事について触れられたくないのだと思います。