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短編小説

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4000字~ の短編小説をまとめています。
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#オリジナル小説

やっと気づいたこの感情x小さな傷口x連絡先交換

薄明かりの下、暗い夜道を歩く。普段から機嫌がいいわけじゃねぇが、今日は特別腹の虫の居所が…

1

甘い香り×刺青の男

バイトが終わり、店の外に出ると外は真っ暗になっていた。いつもなら日がある内に終わるんだけ…

4

不審な女と寂れた男

のどかな風景が広がる片田舎。田舎と呼ぶには人工物が多く、都会と呼ぶには田畑が多い。なんと…

2

「許嫁」

道場で木刀を振る。腕を上げ、体を使い、上から下へ無心で振り抜く。何度も何度も繰り返す。切…

3

提灯の明かり

私は小さい頃、変なものを見たことがある。……変なものって言われても困るかもしれないけど、…

1

悪魔の葬儀屋

「ねぇねぇ、知ってる?」  短い昼休憩の間に少しでも疲れを取るため腕を枕にして眠っていた…

3

襲撃前夜

空が黒い幕で覆われ、重苦しい夜がやって来た。俺は静かに建物から外に出て、薄暗い路地を足音を立てず静かに進んでいく。相変わらずこの辺りは埃っぽい。マントを口元まで引き上げる。  しばらくすると暗い世界にぼうっと明かりが灯る。退廃的で官能的な赤い光が辺りを照らし出す。その明かりに導かれるように進めば大通りに出る。  大通りにはガラス張りのショーウィンドウがずらりと並んでいた。光はそのショーウィンドウから漏れ出ている。ガラスの向こうでは肌を見せた女性たちが誘うように踊っている。女性

軍人と少女

『王家の森の近くで魔物が出没した』と報告があったのは数日前だ。師団長から「行って来い」と…

1

その扉の向こうは

ある街に、不思議な噂があった。  街の郊外には大きくて古びた洋館があった。いつからあるの…

老女の騎士

「――気が変わったりしないか、エリザベス」  初老の男が渋い顔をした。昔から諦めの悪い男…

巨人の子と寂しい人間の子

「『巨人』を見たぁ? 何を言っているんだ、お前は」  冒険者ギルドのバーエリアの一角、古…

幼心、恋心

昔々、私には仲の良い友達がいた。その子は金色の髪にはちみつ色の目をした、少し体が弱くて、…

1

闇夜の恋

「次の仕事が決まった、つた」 「……はい」  広い座敷の奥、暗い色の服を着た父がそう言った…

1

まるで花火のように心に響く恋でした。

 花火。夜空に光が放物線に描かれる。色鮮やかな光が夜空を照らし出すのを、みんなこぞって見上げる。夏の風物詩であり、人々の心を癒す光の華。  ……そんな花火が、私は苦手だった。  綺麗だと思う。花火大会なんかで何百発も打ち上げられるのは感動するし、ただ『見る』だけなら私も好きだ。  私が苦手なのは、あの大きな『音』だ。初めて花火を見たのは小学生くらいだったと思う。山の上の花火大会だった。初めての夜のお出かけということでとても興奮していた私は、『途中で寝てしまうかも』と心配してい