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森林破壊防止規則(EUDR)とは何なのか?

2023年6月にEUで発行された森林破壊防止規則(EUDR、EU Deforestation Regulation)をご存知だろうか。昨今、TNFDや生物多様性が気候変動や人権の次のグローバル問題として注目を集め、話題になっているが、具体的に各国がどのようにその問題に対処しているのかは知りませんでした。そこで今回は、環境分野で先進的な取り組みを進めるEUの規則について見ていきたいと思います。


どのようなルールなのか?

EUDRは、EUで森林関連製品(農産物)を輸入・販売・輸出する企業に対して、森林破壊のリスク評価とリスク低減のデューデリジェンスを要求する規則です。企業は、自社が関わる製品が森林の破壊・劣化に関与していないこと(森林破壊フリーであること)を証明する必要があります。また、加盟国の当局にデューデリジェンス宣言書の提出が義務付けられています。本規則に違反した場合は、EU域内での年間売上高の4%以上の罰金が科され、公表調達から一時的に除外されます。

なぜEUDRを発効するのか?

国連食糧農業機関の調査によると、世界の森林は2015~2020年の間に年間1000万haずつ減少しています。主な原因は森林の農地転換です。森林は温室ガス効果ガスの吸収源であり、生物多様性を育む場所です。森林破壊は気候変動や生物多様性に対して悪影響を及ぼすため、EUとしては、本規則の発効によって森林破壊の進行を防止したいと考えています。

どのような企業が対象なのか?

本ルールの対象企業は、木材、パーム油、牛肉、大豆、コーヒー、カカオ、天然ゴムをEU域内に輸入・販売する全事業者と輸出する全事業者です。また、家具や紙、チョコレートなど森林関連製品を原料とする派生製品を扱う企業も対象になります。

適用開始はいつからか?

EUDRは2023年6月に発効しており、大企業には2024年12月30日、中小企業には2025年6月30日から適用が開始されます。

注意点は?

EUDRでは、企業はデューデリジェンスを行う必要があり、森林関連製品のサプライチェーンを遡って、収穫地の緯度・経度情報を開示する必要があるなど、完全なトレーサビリティの確保が求められます。

ただし、全ての製品に同様のデューデリジェンスが求められるわけではなく、世界の国の森林破壊リスクを「高い」「標準」「低い」と分類し、高リスクの国からの調達には監視を強化する一方、低リスク国ではデューデリジェンスを簡素化してもよいことになっています。

日本企業への影響は?

日本企業が高リスク国から対象となる原料を調達し、それを使用する製品をEUに輸出する場合、輸入業者から森林破壊フリー製品であることの証明を求められます。そのため、日本企業としては、森林破壊のデューデリジェンスを実施し、トレーサビリティの確保ができないとEU市場から締め出される可能性があり、これまで以上にサプライチェーン情報の管理が必要となります。

影響を受ける業種としては、森林関連製品を扱う、製紙や建設、食品、輸送、商社などの業種が挙げられます。

参考文献


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