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自分の精神をアップロードしてデジタル天国に行く。

Amazonプライムビデオで、先日「アップロード」という海外ドラマを見ました。

『超資本主義の「あの世」で、人々は高級なクラウドサーヴァーにアップロードした自意識のもと、永久に“生きて”いる。まさにユートピアではあるものの、毎月宿泊費を支払わなければならないし、ときどき「アプリ内購入」も必要だ。お金で時間を買い、誰もが心から時間を欲している。現実世界を二分する階級社会が、「あの世」でも同じように存在している。』

という世界観を描いていて、ドラマとして非常に面白い出来でした。

色んな角度から見て、色んな感想があるのでしょうが、

僕はこのドラマを見て、逆説的ですが「死」という現象は「救済」であり「恵」であり、「ギフト」だ、という思いになりました。

2033年のデジタル世界では、死の直前にデジタル天国にアップロードする希望を示していれば、資金さえあればその天国に、現在の人格と精神のまま生まれ変わることが出来ます。

生まれ変わった人たちをサポートするのは、AIや、地上でデジタル世界を管理する、お金で雇われた社員達で「エンジェル」といわれる存在達です。

この天国は地上生活の地続きで、結局資金がなければ思うようにサービスは受けれないし、資金が尽きれば自身の活動範囲が極端に狭まり、最後には永遠に停止状態になってしまいます。

また、資金を出資しているのは地上の人間なので、地上の人間の都合の良いようにデジタルの世界で存在し続けなければなりません。

例えば、10歳にもいかないで死んでしまった少年が、両親の思い出アップロードされ、さらに10年近くデジタル天国で生活しています。

地上では少年の弟は成長し、10代後半の青春を謳歌していますが、その少年はずっと10歳のままです。

両親は時折デジタル天国で生活している10歳の息子の姿を見て、感涙します。

そんな姿を見て、少年は強く反発し、弟も親に幻滅します。

少年は、親のエゴで本当は19歳程度の年齢で恋愛もしたいのに、ずっと10歳のままで、常に不機嫌に生活しています。

内面の年齢は青年なのに、外見が子どもなので、デジタル天国でも子ども扱いされたままです。

これはこのドラマの一例ですが、アップロード先の世界は、一見完璧な天国のような世界ですが、よくよく考えてみると、永遠に死ねずに毎日同じ繰り返しを強いられ、かつ絶対的な格差が存在し続けるその世界は、

全くもって死後の世界でも何でもないように見えます。

このように、このデジタル天国は、結局生きている人間のエゴ創造したたデストピアのように見えました。

豊かに生きるなら結局金なのです。

こう考えると、内閣府の目標で掲げているムーンショット目標も実に怪しいものなのかもしれないな、と思います。

結局テクノロジーを扱う人間の意識の状態が、不安と恐怖から逃れること、つまりコントロール欲求を満たすためだけならば、

目に見えている現象が、石器時代だろうと、超高度のデジタル時代だろうと、

支配階級社会というシステムは同じで、

ハムスターが歯車をくるくる回るのと同じように、永遠と同じ体験を続けるわけです。

スピリチュアルマスターの言葉で「死は祝福である」という言葉は、何となく理解しているつもりでしたが、このドラマを見るとその言葉の重みと理解が深まった気がします。

ドラマの人類は「死」という概念に向き合うことの恐怖から、そのようなデジタル天国を創造したのですが、

結局それは幻想に幻想を重ねただけで、

「死」と向き合わず逃避し、結局現生でさえも「生きていない」ともいえるのかもしれません。

現実から逃れたつもりでも、その苦しみは続いていることに気がついていないようです、

とはいえ、

自分で人生の幕を閉じるという選択は、幻想にどっぷりと浸っている結果であり、お勧めはしません。

「本当に生きる」という体験は、どのようなタイミングで生じるのかは分かりませんが、

「想像」を超えて素晴らしいものです。

なぜなら「想像」とは思考で行うことであり、「本当に生きる」とは思考を超えたところにあるからです。

このドラマはシーズン2を撮影している最中ですが、とっても楽しみです。




































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