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人間関係は幻想           ー観自在菩薩とは!?―

心理カウンセラーという職業を続けていると、つくづく人間関係とは幻想であると実感する毎日です。

人間関係には、基礎では家族関係から始まり、交友関係、教師と生徒、師と弟子、上司と部下、カウンセラーとクライアント、恋人など様々な関係性があります。

どうしても生物学的な観点から親子関係という関係性がベースになるので、親子関係の養育する者とされる者の関係性がベースになって人間関係が形成されやすいものです。

人間の防衛本能という強い力の影響で、おかれている立場で人間関係の質がほぼ決まってしまいます。

従って身も蓋も無いことですが体力、知力、経済力のある無しによって、人間関係の中でマウントの取り合いが生じてしまうのはしょうがない部分があるのかもしれません。

関係性をつくっているときの体感

私は、普段からマインドフルネス的な意識(今どんな感覚であるのか)を心がけるようになってから、色々な気づきが、日常から得られるようになりました。

その中で、自分が人間関係を営んでいる中で、今エネルギーが得られているように感じるか、失っているように感じるかに気がつくことの大切さを実感しています。

エネルギーを得ているような感じは、概ね自分が安定して心地よいコミュニケーションが行われている場合です。

反対にエネルギーが奪われているように感じる状況は、自分の立場が弱く、なんとなく相手からコントロールされてしまうような感じがあったり、またそのような可能性を感じるときにこのような感覚になります。

エネルギーが奪われているような感覚がある場合は、自分の中で関係性を見直したり、困難であればその関係性から距離を取ることがとても大切になて行きます。

そうでなければ、自分のエネルギーが相手に無尽蔵に流れてしまい、疲弊ばかりしてしまいます。

しかしエネルギーが奪われる関係性が社会的な役割や概念と重なってしまうと、それが当たり前のように感じてしまいます。

社会の中に当たり前のこととして埋め込まれている関係性の意識

親子、夫婦、上司と部下、先輩後輩、師弟関係…

これらの関係性は「尊敬、愛情、敬愛、」といった表面上美しい言葉を連想させてしまいますが、

立場の上のものが「これはあなたのためよ」という言動を、立場の下の者が「ありがたいことです」と永遠に錯覚し続けると、自分のセルフイメージも低いままに設定され続けてしまいます。

そして、関係性から得られるエネルギーの維持するために、共依存的にこの関係性を維持しまうかもしれません。

立場の弱い者も、成長すると今度は自分の下に、立場の弱いものを置いて、そのものからエネルギーを奪う関係性を続ける場合もあります。

これが繰り返される虐待連鎖、いじめの連鎖に関連する関係性の一つです。

このような関係性は、あらゆるところや場面で再現され続けています。

人間は基本動物なので、エネルギーの奪い合いで生存率を高めてきた、根深い慣習があるので、エネルギーの与え合う循環する理想的な関係性をつくることは、まだまだ少ないのです。

そのため、自分自身の癖や慣習、また社会的な伝統やしきたりの中に埋め込まれている意図などに気を付けておくことは大切です。

それらの関係性は人間だけに適応されている、いわば社会的な「幻想」です。

日本社会ではまだまだ男尊女卑的な傾向があるといわれています。

その上仕事でも教師や医師、会社での上司、社長的な立場が維持されているのであれば、この時生まれる体感や意識状態を、自分自身だと錯覚してしまうのは当然でしょう。

それは物理的な身体感覚として維持されるので、筋肉や脳の神経回路に何度も反芻されるので、表情、態度、雰囲気という物理的な現象として維持されます。

同じ姿勢を保ち続けると、からだはバランスを壊し、何らかの障害や病に繋がってしまいます。

こうしたことから生活習慣病が生産されます。

幻想で自身の心身を蝕むことは、とってももったいないことです。

本来は自由に捉えられる関係性

上司と部下という関係も、会社を辞めたら終わりです。学級内ののスクールカーストの関係性も、卒業したらまったく意味をなしません。

親子関係、師弟関係という一見特別な関係性も、親子という関係も、子どもが生まれたから自分が親にならせてもらったとも言えるし、師弟関係、教師と生徒、上司と部下、などの関係性も全て同じです。

このことを念頭に置かなければ、自分の中の幻想の檻の中で一生を過ごしてしまいます。

あらゆる関係性は自由自在に俯瞰してみると、一つたりとて固定化され、永続され続けるものはありません。

あるとすれば、そう自分や相手が思い込んでいるだけです。

そういった意味で、私達一人一人は公平かつ平等な立場だと言えます。

観自在菩薩

あらゆる関係性で、自分のエネルギーが適切に循環しているか、一方通行的に相手をコントロールしていないか、

また逆にエネルギーが奪われている状況なのかをチェックするのは大切です。

そして関係性において、一方通行にエネルギーが流れていたり、エネルギーが滞っていたりする場合、

エネルギーの循環する関係性にシフトするよう、環境や状況、心理的な視点を変化させることで、自分自身ではなく、その場に関係する人達への恩恵に繋がっていきます。

それはまず最初に、相手との人間関係において自分自身がエネルギーを与えているのか、奪っているのかということに「気づく」という、マインドフルネス(ヴィッパサナ)から始まります。

仏教では、このような俯瞰して自由に関係性を見ることを「観自在」と言い、悟りの仏陀の道を歩むものを「菩薩」と呼びます。

つまり観自在菩薩とは、自分自身がマインドフルネス的に意識的であること、

そして関係性が循環するように、状況に働きかけるものを言います。

その結果として、癒しや治癒、その場の組織改革、経済の循環が副作用として生まれてきます。

そういう場の中心にいる存在を「観自在菩薩」と呼ばれていた存在であると考えられます。


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