古道具を楽しむ #3 菓子瓶
ゆらゆら、とろり。
ふるいガラスは特有の質感が楽しめる。
レトロなガラス製保管容器の中でも、比較的踏み込みやすい"菓子瓶"に絞って今日はご紹介しよう。
菓子瓶とは
菓子を入れるための、瓶。
読んだまんま。駄菓子瓶ということも。
ちなみに本来の用途としては駄菓子屋さんやせんべい屋などが店頭で商品をディスプレイしながら売り場に出す、ためのものだ。
その方が通じやすいから「菓子瓶」と呼称するけど、たまに古いカタログでは「乾物用ショウケース」という名称だったりする。
つまり菓子に限らず、「パサパサ系の食いモン」を展示しながら売るためのケース。
「比較的用途が自由」
古物の世界には、たまにそういうものがある。
現代の道具たちのように「アレはアレ用」「コレはコレ用」と凝り固まらないのは、古物のイイトコロだ。
菓子瓶共通の来歴と特徴
用途は前述した通り。
菓子などを展示しながら販売する。
さまざまな菓子瓶が存在するが、いくつかの共通項が存在する。
1.活躍時期は大正ごろ〜昭和30年代
正しい年代は地域差もあるから断言し難いが…
ガラス工場がなかった地域だと昭和の中頃にようやく店舗で使用され始めたり、もあったようだ。
まあ、僕の店で紹介する菓子瓶はどれもそのぐらいの時期だと思って欲しい。
2.胴体がガラス製
瓶っていうんだからそうでしょと言われればそうなんだけど…
たまに雑貨屋さんで「菓子瓶」っていう名称のプラ製のが売っていたりするのよ。
「古いモノの場合は、ガラス製なんだよ。」いちおう言っておかないとね。
3.蓋はアルミor真鍮
蓋は通常、アルミ・真鍮のいずれか。
たまにブリキのものも存在する、高級種だと鉄の鋳物ですこし密閉製の高いモノも存在する。
このあたりが菓子瓶の特徴だろうか。
形は、さまざま。
事項からは形状と、それぞれの名称を説明したい。
地球瓶
僕はこのネーミングセンスが好きだ。
何年か前、浅草のせんべい屋さんで地球瓶が現役で使用されているのを見た。
店のおばちゃんに、「まだ現役で地球瓶使ってるんですね!」と言ったら「なんのこと?」と言われてしまった。
そもそも「地球瓶」は誰が言い出した名称なんだろう。
説明するまでもなく、「地球みたいにまんまる」なのが地球瓶の特徴だ。
らっきょう瓶
地球瓶と一緒、らっきょうみたいだから、らっきょう瓶。
ちなみにらっきょう瓶や地球瓶の場合は吹きガラス製。
そのためどろりとしたガラスの質感が楽しめる。
部分的に層が厚くなっていたりする部分が垣間見えるのもまた愛嬌があって、イイ。
○○瓶
これはどうだろう。
正解は…
猫瓶
理由は「丸まった猫に見えるから」
少なくとも、ウチで飼ってる猫はこんな形じゃないな〜。
スタンダードタイプ
もっぱらスタンダードなタイプは2種。
それともうひとつ
ちなみに、後者の平置きタイプは、アイアン製のラックに収めて使用されているケースが多い。
並んでみると、壮観。
場所もとるが整然とこちらを見つめコンニチハしている姿は何とも可愛らしい。
菓子瓶の注意点
用途は先に述べた通りだ、「菓子などを展示しながら販売するための容器」である。
開け閉めの機会も多いため、蓋は緩め。
つまり密閉性には欠ける。
湿気やすい食べモノを入れるなら防湿剤も共に、そして一次補完程度が最適だろう。
また、ガラスの口の部分は生成時に切り離して作成される。
そのため、少し「ガジガジ」している。
触れて手を切ったりするようなものでは無いが、「そういうもんなんだな」と覚えていて欲しい。
あとはガラス製だから、バーン!とおかないでね。
といったぐらいかな。
コレクションをゆらゆらどろりとした質感に閉じ込めてみたりすると、面白いディスプレイができる。
当店では、常に菓子瓶はいくつか在庫している。
いずれも製造からとうに半世紀は過ぎたモノばかり。
おもいおもいの品を閉じこめてみて欲しい。
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