見出し画像

私が殺した女

驚きました。見間違いかと思いました。でも、何度見てもあの女なのです。昨日、私が殺した女が、少し離れたところに座ってお茶を飲んでいる。場所は、たまたま喉が渇いて入った喫茶店である。

もしかして双子なのか?

確かに私はその女を殺したが、その女が誰なのか知らなかった。衝動的に殺してしまった。日々の不平不満が積もり積もっていた時、たまたまその女がいた。彼女の遺体が発見された時もニュースになった。だから、私が彼女を殺したというのは事実なのだ。それなのに、その女が目の前にいる。しかも、その女は私と目が合うと笑った。その笑顔は微笑むというより挑発的だった。双子ではないかという疑いは消えた。根拠はないが、そうではないような気がした。服装も、昨日の私の記憶と一致する。彼女は、私が殺したときと同じ服を着ている。彼女を殺したことに後悔はない。いつもの私は驚くほど冷静だ。しかし、殺した女が現れたら話は別だろう。気がつくと、私はその女の方に向かっていた。

ここから先は

1,477字
この記事のみ ¥ 100
期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

日々観た映画の感想を綴っております。お勧めの作品のみ紹介していこうと思っております。