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バービー

あらすじ:バービーは恋人のケンと、すべてが夢のように完璧なバービーランドで、連日パーティーやドライブをして暮らしていた。しかしある日、完璧なはずの世界に異変が発生し、バービーは真実を探るために人間の世界へ向かう。

注意)ネタバレあります!!!

アメリカ合衆国の玩具メーカーマテル社が発売、世界的にヒットした着せ替え人形バービーの実写映画化で製作側にマテル・フィルムズが関わっているので、企業に配慮した映画になるだろうと思っていた。しかし、想定外の仕上がりに良い意味で驚き、感嘆している。オープニングでバービーが如何に子どもたちの遊びに革命を起こしたかがわかる。

バービーが発売されたのは、1959年。それまで大人のプロポーションをもち、様々な服に着せ替えることができる人形はなかった。私も子どもの頃、バービーのような人形で遊んでいた。様々なおしゃれな服を着せ替えて、楽しんだ少女の頃を思い出し、泣いた。

バービーはピンクで煌びやかなバービーランドで毎日ハッピーに暮らしていたが、ふと「死」に対する不安が頭をよぎる。そのことをバービーランドに暮らすバービーたちに打ち明けると、皆の時間がフリーズする。「死」を考えることはこの世界では異端者でしかなく、周りから変人だとレッテルをはられることに気付いたバービーは、周りから変人だと敬遠されているバービーに悩みを打ち明ける。

変てこバービーは顔に落書き、髪はハサミでめちゃくちゃにカットされ、足は時々開脚する。これは人間界の持ち主にめちゃくちゃにされた風貌なのである。おそらくグレタ・ガーウィグ監督が子どもの頃にした遊び方だと推測する。そして、グレタ・ガーウィグ監督を投影したのがこの変てこバービーなのだ。

人間界に降り立つバービーとケン。人気者だと思っているバービーは、想定外の反応に戸惑い、思考する。

今作品のテーマは
⭐子どもから大人へ成長する過程で起こる葛藤と挫折
⭐ジェンダー平等
⭐自分の体は、自分のもの

現在アメリカで半世紀ぶりに最高裁の判例が覆され、中絶を厳しく規制する州が増えたため、追い詰められる人が相次いでいる。ラストシーンは、アメリカで巻き起こっている中絶論争に対する問いかけであろう。

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