新たな発見はいつも小さな行動から(前編)
これは私が学校の語学研修プログラムでシンガポールに行った時のお話。
そもそも学校の語学研修プログラムというと、堅苦しいイメージがあるのではないだろうか。
・毎日の時間割が決められている
・自由時間がほとんどない
・外出に対するルールが厳しい etc...
これは学生を守るためのルールでもあるので仕方ないと言えば仕方ない。
だが、当の学生にとってはそれが鬱陶しくてならないのも事実。私もその一人であった。
私が参加したシンガポールの語学研修プログラムは一週間のプログラムで、最初の4日間はホームステイ、最後の3日間はホテルに泊まるというものだった。
その中でも、特にホテルに泊まるときの制約がとても厳しかった。
その一つとして、ホテル滞在時のホテル内以外の外出は禁止という制約だ。海外文化に触れるためにシンガポールまで来たのに、外出禁止はさすがに頭おかしいのではないかと当時は思ったほどだ。
しかし、さすがは試験をパスしてまで語学研修に来ただけはある優等生諸君。夜8時過ぎということもあり、大半の生徒は律儀にルールを守って自室でおとなしく待機していたり、他の部屋に行ってボードゲームで時間をつぶしていたりしていたのだ。
私はと言えば、海外に来てまでさすがに自宅でもできるボードゲームをやりたいとは思わず、何とかして海外らしいことをホテル内でできないかとホテル内を散策していた。
泊まっていたホテルは全部で14階層ぐらいあり、そのうち1階と2階はロビー、3~6階までは生徒と教員の部屋があるため行き来は許されていた。
そこで私は好奇心から6階から順にホテル内を隅々まで散策していこうと思い、先ずは6階に上って端から順に歩き回った。
6階は、良く映画などで見るような部屋番号が書かれている部屋だらけで特にこれと言って目新しいものはない。時々部屋から知らない言語が聞こえてくるぐらいである。
5階も似たようなものだった。
それも当然か、、と思いエレベータを使って4階に下りた時いつもの通路の景色とは少し違い広いように感じた。
エレベーターから出て少し歩くと左側に見慣れない扉。
ホテルの構造からしても明らかにホテルの裏側、いわゆるホテル従業員のみにしか入ることが許されないような場所にその扉があった。
しかし、そこからは従業員だけでなく一般の人も数人出入りしている光景を目の当たりにして、不安を抱きつつ未知の場所を探検してみたいという気持ちが勝り、恐る恐る扉の中に入っていった。
すると、そこには細長い通路が続いていた。
どんどん奥へ奥へと進んでいくと、急に開けた場所にたどり着いた。
「ん、なんだここは?」
と思い、辺りを見回してみると南国をモチーフとしているのかヤシの木らしきオブジェとプール、奥にはカウンターがあり、そこに数人の男性と女性、そして店員らしき人がいた。しかもその空間がなんと自分が滞在しているホテルと隣のビルの間にあったのだ。
「あれ、これよく映画とかで見るアウトサイドバーらしきところじゃね?
プールもついているし、、、。」
近くの看板を見ると、Opening hoursとDrink Menuと書かれていた。やっぱりバーだ!と思い、ウキウキしながらも当時は未成年であったのでお酒を飲むことができず、看板の前で立ち尽くしていた。
自分にはまだ早い場所だと思い引き返しホテルに戻ろうとした時、プールの中に数人子供がいたのを発見した。そして改めてプールとバーカウンターの距離を見ると、明らかに看板よりも前にプールがあるのに気づいた。
「これもしかして、注文しなくてもプールで遊べるんじゃね?」
とまたしても好奇心からそのような疑問が浮かび、近くにいる従業員に話を聞いてみると、
・ホテル滞在者は誰でも使用してもいいということ
・入水するには水着が必要
・営業時間は朝の7時から夜の9時だということ
を教えてもらった。
これ普通にプール入れるやん!と気づき一人で舞い上がった。
しかし、すぐに今が夜の9時前だと気づいて、喜んだ気持ちを返せっ!て心の中で思った。
仕方なくプールは翌日の早朝に行くとして、その日は引き続きホテル内の散策に戻った。
ホテルに戻り、4階を再度散策したが、それ以上の収穫がなく、3階へ。
しかし、3階も6階や5階と同じで特に目新しい収穫がなかった。
続く2階へ降りた時、またしても怪しげな扉があった。今度は手動ではなく、自動ドア。
(後編へ続く)
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