3月20日「アルプラゾラマーでもホムパは楽しめる」

一昨日、比較的近所に住む友達から「うちでご飯会やるよ、よかったら食べに来てね。ゆるい会です」とインスタグラムのアカウントにメッセージが届いていたので、「ありがとう。適当な時間に顔出すよ」と返した。

我ながら上の90文字、ツッコミどころがたくさんあると思う。まず私のような「会社勤めではなく、自宅のパソコンの前で(一応)仕事をしている」「不安障害でアルプラゾラムを処方されている(アルプラゾラマーと命名してみる)」「外食が苦手」「年齢は三十代半ば」の人間が友達をつくるのは、なかなか難しい。数年前の私ならあり得なかった。

その人と友達になった経緯を説明するのはなかなか骨の折れる作業だし、「友達を作る方程式」というものはよく分からない。私の場合は、一時期は苦手だったものの、15分程度の乗車時間なら苦ではなくなったバスに乗った先に「居場所」を見つけられたのが大きい。そこからの人間関係の広がりは、抗不安薬の服用で生まれた「人と関わる勇気」がベースにある。

ご飯会とは、要はホームパーティー。数年前の私なら、約束事もしんどいし、「友達の家で具合が悪くなったらどうしよう。自分のせいで場が盛り下がるのが怖い」という気持ちを強烈に抱いていたと思う。ただ、今は「一日の具合を左右する睡眠時間を確保するための睡眠導入剤」と「服用から数時間後の不安感軽減に役立つ抗不安薬」もあるので、気持ちは少し楽。

睡眠導入剤と抗不安薬を飲んでも、具合が上向かなかったら、会う約束をしていた人に素直に「ちょっと体調悪いから今日は行けない。ごめんね」と言えば良いと思う。「それが言えたら苦労しない」と言われそうだが、実際、昨日のホムパは来られなかった人もちらほらいた。主催者も気にしている様子はなかった。

「友達の家で具合が悪くなったらどうしよう。自分のせいで場が盛り下がるのが怖い」という不安は、相変わらずあった。その不安への向き合い方は、アルプラゾラムをあらかじめ飲んでおくこと、追加で飲む用のアルプラゾラムを持っていくこと、それでもしんどくなった時のセリフを考えておくことくらい。「ちょっと眠くなった」くらいの嘘なら、別に問題ないと思う。

「そもそもホムパに参加するのがしんどい。コミュ障だし」という人は無理に出かける必要は全くないが、私は「不安感がある程度抑えられていれば、元々人と話すのは好きだったし、知らない人が多い場所もそれほど苦にならない」人間なので、昨日のような機会はありがたい。

不安感は、その不安に向き合う暇をつくることなく、例えば誰かと喋っていれば、だんだん気にならなくなる。これは私の経験に基づく。知らない人が多い場で「うまく泳ぐ」コツは、自己紹介をする、人の話に相槌を打つ、盛り付けや片付けなど手伝えることがあれば自分から手伝う、よく笑う。そうすれば基本的に楽しくなるはずだ(たまに全く合わない場もあるけれど)。

「友達の家(もしくは飲食店)で具合が悪くなったらどうしよう。自分のせいで場が盛り下がるのが怖い」という不安は、アルプラゾラマーなら(程度の差はあれ)抱くのが自然だと思う。ただホムパの参加者をよく観察すると、「あまり具合が良くないのかな」という人もいた。緊張していたのか、喋るのが得意でないのか、真相は分からないが。

結局のところ、私は自分のせいで他者が不快な気持ちになるのを恐れているのだと思う。だから自分の具合に気を遣う。しかし、果たして「具合が急激に悪化した私に他者が不快感を抱く場面が果たして訪れるか」とこの文章を書きながら思った。本当に具合が悪ければ、家でおとなしくしていればいいし、そうすること、断ることのハードルはコロナ禍で下がった気がする。

ホムパは4時間参加し、主催者、知り合い、初対面の人と楽しく喋れた。主催者は普段から「イベントは出入り自由」と公言し、「無理せず自分のペースで参加してね」という他者を尊重する「ゆるさ」を大切にしているが、私も「そちら側」でありたい。そして心配事が多い人(アルプラゾラマーなど)が「今日は楽しかった」と言える場をつくる側でありたいと思った。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?