強い女になりたくて髪を切った
「なめられないハンサムなショートカットにしてください」
と、頼んで、私は就活以来ずっと伸ばしていた髪をバッサリ切った。
ふわふわの可愛いショートもいいけれど、
きれっきれのおしゃれなハンサムショートに惹かれた。
強く、たくましく、芯のある女性が、私の憧れだ。
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ショートカットにしたのは初めてではない。
私は思い立つたびに、ちゅうちょなく髪を切った。
夏は暑いから〜とか、
ドライヤーめんどくさいから〜とか
よく言っていたけれど実際そうではなかったなと今になって思う。
強い女になりたかったのだ。
私は自分で言うのもなんだけど、
身体は小柄だし、顔も目も鼻もまん丸で
どちらかと言うと綺麗と言うよりは可愛らしい雰囲気だと思う。
可愛いね可愛いねと、
子供のように甘やかされることが多かった。
それで助かってきたことがたくさんあった。
仕方ないなぁと助けられることに、甘え続けてきた。
ひたすら甘い蜜を吸っていた。
周りの人の助けがなければ、
絶対に今の私はいない。絶対に、だ。
でもどこかで、
自分の力で生きていかなきゃいけないんじゃない?
と言う気持ちもあって、
人に甘えてばかりの、自分に甘い自分が嫌いだった。
私がばっさり髪を切ったのは、
本格的に大学受験を始めた時、
大学に入って一人暮らしを始めた時、
就職活動をし始めた時。
自分のことは自分でやるんだ!とぎらぎらしている時、私はいつもショートカットだった。
- 偏差値が40以上足りないのに国立大学を志望する。
- アルバイト代のみで一人暮らしをする!奨学金も仕送りもいらない!と実家を飛び出す。
- アルバイトを3つ掛け持ちしたまま、倍率の高い業界に挑む。(平均ES提出数の3倍ほど出した。後々量より質だと知る…)
辞めときなよ、と言われようが、
やると決めたら猪突猛進、全力でやった。
ただただ頑固なやつと言ってしまえばそれまでだけど、
甘ったれな自分への、決別でもあった。
ショートカットは、
そんな決意の現れだったのかもしれない。
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社会人も2年目になって、
仕事の責任も、自分の人生への責任も、
以前より強く感じるようになった。
私の人生は、私が幸せにしたい。
新生活にも慣れてきて
気が緩んでいる私に喝を入れたくて、
今までで一番ハンサムなショートカットにした。
自分で素敵だと思えるくらい、ぎらぎらした私でいられるように。
自分の足で立って、自分の人生を生きられるように。
大きな大きな決意を、
ほんの数センチの髪の毛に込めて。
お気に入りのショートカットで、
私は今日も背筋を伸ばして生きていく。
No.4 - 強い女になりたくて髪を切った
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