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誰が「物流」を殺すのか - ⑫TC型倉庫とDC型倉庫

さあ、月曜日だ。
月曜日はボクの得意分野の物流について書く日だ。
先週は「企業向けの物流と個人向けの物流」というテーマの記事を書いた。

今日は倉庫の業務について書いていこうと思う。


さて、倉庫は大きく「TC型(Transfer Center)」と「DC型(Distribution Center)」に分類することができる。

TC型の倉庫

TC型は、入庫した商材を在庫として保管することなく、なんらかの加工を加えて即出庫する倉庫だ。いわゆるTCは配送を効率的に行うための積み替え、つまり方面別の仕分けや集約を行う倉庫であることが多いが、パレットへの積み付けや配送用の伝票貼りなどを同時に行う場合もある。宅配企業で言うところの「XC(Cross Dock Center)」や「配送デポ」などがTCのわかりやすい例と思う。

TC型の倉庫は空の状態であることがデフォルトだ。
基本的に倉庫内はフラットになっていて、入庫口でトラックから降ろされた貨物は、すぐに一定の法則に基づいて手が加えられ、出庫口で待ち構えている別のトラックに積み替えられ、それぞれの目的地に向かって出発する。

DC型の倉庫

一方DC型は、受注に応じた商材の出荷を行うことがメインの業務となる。なので、クライアント(もしくは自社)のビジネスに必要な商材が在庫として保管されていることがデフォルトとなる。そして通常、DC型の倉庫の中にはラックが据え付けてあり、可能な限り高さを生かした商材の保管をする。その方が倉庫内の空間を有効に使うことができるからだ。

入庫口でトラックから降ろされた商品は、開梱されて商材単位で一定の法則に基づいてラック(の決められた場所)に保管される。ラックをどのくらいの高さに設定するかは、そのビジネスで扱う商材によって変わる。片手で掴めるような商材であれば、手が届く程度の高さを上限としておくほうがピッキングの効率が良くなるが、フォークリフトを使わなければ動かせないような商材であれば、むしろ3メートルくらいの高さに積み上げた方が空間を有効に使うことができる。

保管されている商品は、顧客からの受注に応じてピッキング(ラックから必要な商材を必要な分量だけ取り出す)され、梱包されて、必要なラベル(商品識別用および配送用など)が貼り付けられ、さらにトラックに積みやすい形態に整え(パレットロールボックスなどへ積み付け)られて、発送されることとなる。

バランス感が重要

TCもDCも倉庫の空間には制限がある。
その限られた空間を最適に使うのが物流の効率化のひとつだ。ただし、物流はその名の通り「物」を「流」すことだ。なので、その流れがスムーズになる設計をしなければならない。そして、それを可能な限り低コストで行い、且つそこで働く人たちのモチベーションやエンゲージメントを維持向上させなければならない。さらに物流がその会社のビジネスに与えるインパクトも考えなければならない。

このバランスのとり方が、物流の難しいところであり、また面白いところでもある。

(続きはまた来週)


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