見出し画像

誰が「物流」を殺すのか - ⑪企業向けの物流と個人向けの物流

さあ、月曜日だ。
月曜日はボクの得意分野の物流について書く日だ。
先週は「複雑化する現代のネット通販」というテーマの記事を書いた。

今日は「企業向けの物流と個人向けの物流」について書いていこうと思う。


物流の中で比較的一般の人に馴染みのあるもの

(これは以前にも書いたが)日本産業規格(JIS)によると物流は「物資を供給者から需要者へ、時間的及び空間的に移動する過程の活動。一般的には、包装・輸送・保管・荷役・流通加工及びそれらに関連する情報の諸機能を統合的に管理する活動。」と定義されている。

一般の人にとっては「包装・輸送・保管・荷役・流通加工及びそれらに関連する情報の諸機能を統合的に管理する活動」などと言ってもピンとこないと思う。皆さんがよくご存じなのは、保管部分における「トランクルーム」、輸送部分における「宅配」および「引っ越し」などだろう。

トランクルームの歴史

トランクルームに関しては、1931年に三菱倉庫が江戸橋(現在の東京 日本橋)の倉庫を使って、個人向けに美術品や貴金属などの保管を行ったのが始まりだ。その後、社会情勢の変化による需要の高まり、また新規事業者の参入などによって、よりリーズナブルなものや利便性の高いサービスを有するもの、さらにそういったトランクルームを一括検索できるサイトなども出てきている。

皆さんが知っている輸送

輸送に関しても、その大半がメーカーや卸売、小売などの企業向けだ。街を走っているトラックの大部分が企業間を行き来するものであり、彼らの多くは様々な企業の工場や倉庫を目指して、昼夜を問わず走っているのだ。また、船舶、電車、航空機による輸送も、(最終的には消費者の手元に渡るものが多いが)その貨物のほとんどは港や駅、空港で一旦降ろされ、トラックに積みなおされて企業向けに走っていくことがほとんどだ。

陸・海・空の輸送の歴史は、過去の記事でまとめてあるので、ご興味のある方はそちらをご購入いただきたい。

宅配便の歴史

その「輸送」の中で、個人向けに提供されているのが「宅配便」と「引っ越しサービス」だ。明治4年(1871年)に郵便事業が開始され、その4年後には郵便小包の運用が開始されているので、個人向けの荷物の輸送の歴史は古いと言えるが、「物流」というカテゴリー(民間企業による輸送)で考えると、ヤマト運輸が取り扱いを開始した「宅急便」が始まりだろう。

当時、ヤマト運輸の社長であった小倉昌男氏は、アメリカのUPS(ユナイテッド・パーセル・サービス)社が行っていた小口貨物の配送を視察し、その仕組みを日本に持ち込んで、1976年に「小口便(後の宅急便)」の取り扱いを開始した。現代においては、ヤマト運輸だけでなく、佐川急便(飛脚宅配便)やセイノー運輸(カンガルー宅配便)などいくつかの運送会社が、同様の小口配送(宅配便)のサービスを行っている。

引っ越しサービスの歴史

「引っ越しサービス」については、昔から家財道具が多い家において、家人だけで引っ越しをするのが難しいことから、江戸時代あたりには武家や商家が人足を雇って引っ越しを行っていたようであるが、近代においてトラックを使った「引っ越しサービス」がいつ始まったものかについて記録は残っていない。おそらく、最初は知り合いから頼まれて家財道具を運んでいたものが、梱包や据え付けなどを行うようになり、専門サービスとして進化してきたのであろう。

宅配便の延長として引っ越しサービスを展開しているのが、ヤマト運輸のグループ会社のヤマトホームコンビニエンスや、佐川急便のグループ会社(SGホールディングス傘下)のSGムービングなどとなり、引っ越しサービスのみに特化してビジネスを成長させたのが、サカイ引越センターアート引越センターなどとなる。


このように、物流において「トランクルーム」「宅配」「引っ越し」の3カテゴリーは個人向けのサービスであるが、それ以外はすべて企業向けのサービスとなる。

来週は倉庫関連の業務および輸送業務に関して、もう少し詳しく書いていこうと思う。

(続きはまた来週)


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
最後まで読んでくださってありがとうございます。

これまで書いた記事をサイトマップに一覧にしています。
ぜひ、ご覧ください。

<<科学的に考える人>>


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?