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誰が「物流」を殺すのか - ⑤データ管理と省力化をどう考えるか

さあ、月曜日だ。
月曜日はボクの得意分野の物流について書く日だ。
先週は「物流部門(物流担当者)に求められるもの」というテーマの記事を書いた。

今日は具体的ににどんな管理をしていくのか書いていこうと思う。


さて、先週の記事の最後の方で「物流部門(物流担当者)は現場(各部門の出口と入口)に足を運び、下流から上がってくる情報と現場で起きていることのギャップを発見しなければならない。」と書いた。

データを分析する力

もちろん、現場で起きていることを知ることは重要だ。
しかし、それだけでは片手落ちになってしまう。
目の前で見えることはその瞬間のことしかわからない。サプライチェーン全体で起きていることや、前年や前月に対してどんな変化が起きているのかを知ることができない。なので、やはりデータを分析する力も併せ持っておく必要がある。

メーカー企業であれば、経営層が最も気にする指標のひとつは「ROI(投資収益率)」だろう。ROIは純利益額を総投資額(流動資産 - 流動負債)で割り算して%表示したものだ。流動資産の中には現金・預金・売掛金・商品在庫高などが含まれ、流動負債の中には買掛金・短期借入金、前払金・仮払金、短期投資などが含まれる。つまり、会社が利益を得るために投資したお金がどのくらい利益を生んでいるのかを測る指標だ。当然100%以上であれば良い事業投資ができているということになる。

データ管理をするためのツールの導入

物流部門としては、ROIの中で流動資産の「商品在庫高」の部分に責任を持たなければならない。そして物流コストを必要最小限に抑え、その金額が必要最小限であることを経営層に説明しなければならない。そうなると、定期的に棚卸をして在庫数を数値化するだけでなく、アイテムごとの在庫保管数が適正であるか把握しなければならない。納品までのリードタイムと欠品率のバランスを見ていかなければならない。付帯作業にかかっている作業時間と遅延率や誤出荷率とのバランスを見ていかなければならない。日々需要が変動する中で、常に最適な組み合わせで配送が行えるよう、輸配送に微調整を加えていかなければならない。

そうなると、それらを作業をサポートしてくれて、且つログを残してくれるツールを導入する必要に迫られる。それが倉庫管理の部分ではWMS(Warehouse Management System)、輸配送管理の部分ではTMS(Transportation Management System)になる。WMSはバーコードやQRコードを利用して、入庫~保管(ロケーション管理を含む)~ピッキング~仕分けなどの庫内業務を支援し、ログを取ることができるシステムとなり、TMSは(概ね)WMSと同じバーコードやQRコードを使って、どのアイテムをどこの顧客に納品するのか、またそれを必要最小限のトラック台数で行うには、どのような組み合わせにすると最適になるかを支援、およびそのログを残すことができるシステムだ。

最先端の事例の紹介

このあたりのシステムが最先端に進んでいるのはAmazonだろう。
WMSとして各工程のログを取ることはもちろん、それぞれの工程の省力化およびミスの削減の支援を行うというところを追求しているのがよくわかる。

日本企業も負けてはいない。
花王も自社でWMS/TMSの開発を進めている企業のひとつだ。
ここで出てきた豊橋の倉庫は省力化を進め過ぎてしまって、ほぼ無人となっているが、これも今後のロールモデルになって行くのかもしれない。

AmazonはEC事業者で花王は日用品メーカーだ。なので保管するアイテム数や形状も全く違うし、届け先(納品先)も全く性質が異なる。なので、Amazonの倉庫が無人化されるかというとそうはならないだろうし、花王のの倉庫でポッドが走り回る必要もない。

その企業に最適な物流を構築することが重要なのだ。
中小企業がAmazonや花王と同じような倉庫を作ることはできない。あれは圧倒的な物量があるからこそできることで、少品種を小ロットで動かすのであれば、やはり汎用型のWMSやTMSを導入し、人力で作業を行っていくことになる。そうなると、他社との差別化を図るためにそこに加えなければならないエッセンスは、その会社で働く人ひとりひとりに寄り添った細やかなマネジメントになるだろう。

(続きはまた来週)


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