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ドラッカーのマネジメントについて学ぼう -⑨コミュニケーションとは何か

さあ、金曜日だ。
金曜日は、ドラッカーの「マネジメント」について学ぶ日だ。

この本は非常に緻密に書かれており、記事としてはドラッカーが書いた内容を順になぞっていくようなものになってしまうかもしれないと思っているが、可能な限り現代的な解釈をして、わかりやすく解説を加えていきたいと思っている。

先週は「失敗しない意思決定をするために押さえておくべきポイント」について書いたが、今日は「コミュニケーションとはなにか」について書こうと思う。


誰もがコミュニケーションが大事と言う

ボクは毎日数名の中小企業の社長と会話をする。

その中で、皆さん「コミュニケーションを大事にしている」「しっかりコミュニケーションを取るようにしている」「信頼関係を構築するにはコミュニケーションが大事だ」…と口を揃えておっしゃる。しかし、残念ながら(正しいとか間違っているとかは置いといて)コミュニケーションを詳しく定義され、それを体系的に説明してくださった方にお目にかかったことはない。

ドラッカーは、すでにボクたちが知っている基本原理として、以下の4つの項目を挙げている。

コミュニケーションは知覚である
コミュニケーションの内容を発する側だけではコミュニケーションは成立しない。成立させるためには、受け手の経験に基づいた言葉を使う必要がある。そのためには、受け手が何を見ているか、なぜそれを見ているのかを知らなければならない。

コミュニケーションは期待である
人は期待しているものだけを知覚する。逆に言うと期待していないものは受け付けることさえしない。つまり、受け手が何を期待しているかを知って、その期待を利用する、もしくはその期待を裏切って「予期せぬことが起きている」ことを認識させることが重要だ。

コミュニケーションは要求である
コミュニケーションは常に受け手に何かを要求する。受け手が何かになること、何かをすること、何かを信じることを要求する。それは、受け手の価値観や欲求、目的と合致するときに強力になり、合致しない場合は抵抗される。

コミュニケーションは情報ではない
コミュニケーションと情報は別物であるが、コミュニケーションと情報は依存関係にある。なぜなら、コミュニケーションは知覚の対象であるが、情報は文字や数字の羅列であり、ただの記号である。しかし、情報は感情や価値、期待、知覚といった人間性を排除すればするほど有効になり信頼性も高まる。だが、情報が伝わるためにコミュニケーションが必要だ。受け手はその記号の意味を知らされなければ、その情報は受け取られることすらない。

コミュニケーションとは何か

多くの経営者は、部下に対して「何を話そうか」と考える。
しかし、それは「発し手の優位性がコミュニケーションを成立させる」という考えに基づくものだ。それはまるで、月初の朝礼で部長の発する訓辞が誰の耳にも届かないように、終業式で壇上から発する校長の言葉が子供たちに響かないように、発し手が一方的に発した言葉(記号)は受け取られることはなくスルーされ、場合によっては抵抗を生む。

そう、コミュニケーションとは、受け手の経験に基づいた言葉がどんなものなのか、受け手が何を期待しているのか、受け手の欲求や価値観がどんなものなのかを、発し手が知ることからスタートしなければならない。そして、それらのギャップを縮めながら、両者が発する情報(記号)の意味を伝え合う、そして理解し合う作業でなければならないのだ。

(続きはまた来週)


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