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ドラッカーのマネジメントについて学ぼう - ⑭なぜ大企業病が起きるのか

さあ、金曜日だ。
金曜日は、ドラッカーの「マネジメント」について学ぶ日だ。

この本は非常に緻密に書かれており、記事としてはドラッカーが書いた内容を順になぞっていくようなものになってしまうかもしれないと思っているが、可能な限り現代的な解釈をして、わかりやすく解説を加えていきたいと思っている。

先週は「良い組織を設計するために必要なファクター」について書いたが、今日は「なぜ大企業病が起きるのか」について書こうと思う。


なぜ大企業病が起きるのか

組織が大きくなってくると、余分な贅肉が付いてくるものだ。

企業が大きくなると、階層が増えて(マネジメントを行う者ではなく)何かの業務に特化した中間管理職が増えていく。そしてそういった中間管理職は自分の存在価値をアピールするために、自らが特化している部分に注目を集めようとする。よくあるパターンとして、手続きを複雑化することによって、自らの縄張りを守ろうとする。

そうなると、次に出てくるのは調整役となる人物だ。
それは、元々ひとつであるべきものをひとつにまとめるために動くことが仕事になってしまっている人物だ。彼はとても忙しく、精神的な負担も大きい。しかし彼自身は何も成果を生まない。そしてマネジメントを行うわけでもない。

調整を頻繁に行わないと組織が動かないのは最悪な状態だ。仕事に向けるべき時間の幾分かが、他の人の感情を慮ることや、誰かと誰かの好き嫌いを考慮することに費やされてしまうべきではない。組織がそんな状態になっているのは人員過剰である証拠である。不用意に他人の足を踏んづけてしまわないよう気を配らなければならない状態であるのは、その空間が過密になっているからなのだ。

目指すべきはスリムで健康的な組織構造

組織はシンプルであるべきだ。
組織図が無いと誰がどんな役割を担っているのかわからない組織構造は、成果を上げるどころか、成果を上げる障害となる。なぜなら、成果を上げようと突き進む人物は自分の足元など見ていないからだ。そういった人物は頻繁に他人の足を踏んづけてしまう。そして周囲から「その場でじっとしてろ」と言われてしまうのだ。

理想的な組織は、個々が自らをマネジメントし、自らを動機づけることができる組織だ。究極で言うと、マネジメントも、管理も、コミュニケーションも、人事も、そんなことに煩わされることがない組織が良い組織なのだ。逆に言うと、そんなことが(つまり成果ではなく努力が)評価軸になっている組織構造であってはいけない。

部署は3つのカテゴリーで構成されるべき

組織がシンプルであるかどうかを判断するためには、それぞれの部署や個人が以下の3つのカテゴリーに収まっていて、且つ成果を上げることができているかを問うてみて欲しい。この3つのカテゴリーに収まらない部署や人材は不要である可能性が高い。

① -今日行う仕事で成果を出す部署
② -将来の成果に責任を持つ部署
③ -①と②の部署に対してビジョンを与え、方向性を決定する部署

一方で、組織構造は柔軟であるべきだ。
多くの人が成果に向かって突き進む以上、ある程度他人の足を踏んづけてしまうようなことは起きる。そういった摩擦や不調和は覚悟しておかなければならないが、かといって、そういうことが起きるたびに安易に組織改編を行うことも避けるべきだ。

個々がそれぞれ成果に向かって突き進み、その中でうっかり他人の足を踏んづけてしまっても、「あ!ごめんごめん!」と言うだけで、つまり個人個人の信頼関係によってスムーズに解決できる組織が良い組織なのだ。

(続きはまた来週)


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