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ドラッカーのマネジメントについて学ぼう - ⑬良い組織を設計するために必要なファクター

さあ、金曜日だ。
金曜日は、ドラッカーの「マネジメント」について学ぶ日だ。

この本は非常に緻密に書かれており、記事としてはドラッカーが書いた内容を順になぞっていくようなものになってしまうかもしれないと思っているが、可能な限り現代的な解釈をして、わかりやすく解説を加えていきたいと思っている。

先週は「組織づくりに重要なこと」について書いたが、今日は「良い組織を設計するために必要なファクター」について書こうと思う。


価値を生み出す組織づくりの考え方

組織の活動とは価値を生み出すことだ。

「価値」とは、その組織が生み出すプロダクトやサービスが、第三者にとってどれくらい大切で、どれくらい役に立つものであるか、もしくは利益を生むものであるかの尺度を指す。

ひとりの人間が生み出すことができる「価値」は小さい。
より大きな価値を生み出すためには、それに応じた規模感の組織が必要であるが、それは自然に出来上がっていくことはなく、組織づくりのための万能モデルもない。

あるのは「考え方」だ。
良い組織を作るためには、オーナーとなるべき人物が組織づくりに必要なファクターを知った上で、ハンドメイドで時間をかけて作り上げるしかない。それは「目的(ビジョン)」と「戦略(バリュー)」が骨子となり、それに対してどんな活動が必要になるのかを肉付けしていく地道な作業だ。

Activity(組織の活動)

組織がどんな活動をするかにおいて、その「組織が生み出すことができる価値」を定義しなければならない。その価値が他よりも優れていることが明白であることによって、その組織の活動の目標と戦略を描くことができ、求めるべき成果を設定することができる。

そして、逆に組織の弱点、つまり「価値を生み出すことを阻害する要素」がどんなものなのかも知っておく必要がある。

Contribution(内外への貢献)

その「価値」を生み出すためには、内部からの貢献が必要になる。

まず、直接的に収入に貢献する活動として、マーケティングやイノベーション(技術的な革新)、そして資金調達や財務管理などがある。そして直接収入を生むわけではないが、目標の達成に非常に大きな影響を及ぼす活動が、人材開発や労務管理となる。生産管理や物流管理も同様だ。さらにそういった活動の、それぞれの進捗をアウトプットできるメカニズムが必要となる。

そして、組織が良識ある方向に進んでいくために、自浄作用が必要になる。それ自体は成果を生まないが、長期的に組織が価値を生み出し続けるためには非常に重要なファンクションだ。具体的が活動としては、監査や教育、助言を行うことなどとなる。さらに労働者のエンゲージメントを高めること、社会的責任(CSR)を果たすことも重要であり、そのためには労働者の健康管理や年金、退職金などの制度の整備、もっと細かいところで言うと、事務所や作業場、近隣道路の清掃なども必要な活動だ。

Decision(意思決定)

組織が価値を生むために、多くのタイミングで「意思決定」が必要になる。意思決定を行うには、意思決定する人に「権限」と「責任」を与えなければならない。そのためには、意思決定そのものを分類しておかなければならない。その分類方法は以下の4つとなる。

1. その決定がどのくらい将来にわたって影響を及ぼすか
 →長期にわたって影響を及ぼす決定であればあるほど、上位職が決定すべき内容である。
2. その決定がどんな範囲にわたって影響を及ぼすか
 →影響を受ける部門が多くなるほど、上位職が決定すべき内容である。
3. その決定が行動基準や価値観に影響を及ぼすか
 →ビジョンやバリューに影響を与える決定であれば、最上位職が決定すべき内容である。
4. その問題が頻繁に起きるものか、稀にしか起きないものか
 →頻繁に起きるものであれば、決定方法の原則を上位職が決定し、実際の提要は現場に近い職階で決定すればよい。

Relationship(関係性の構築)

そして、最終的に必要になるのが、それぞれに行われる「Contribution(内外への貢献)」と「Decision(意思決定)」の関係性の位置づけだ。似ている活動をしているからと言って、別々の組織を同じ部署に統合することが、必ずしも将来的に良い結果を生むとは限らない。また、場合によっては意思決定のラインを紐づけなおすことが、より大きな「価値」を生む結果につながることもある。

重要なのは、組織ごとのコアな部分の円滑で密接な関係性を構築することである。しかし、そこには双方に相反があってはならず、且つ必要最小限のものでなければならない。

(続きはまた来週)


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