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孫子の兵法について学ぼう - 九変篇~行軍篇

さあ、水曜日だ。
水曜日は「孫子の兵法」について書いていく。

このシリーズはかなりボクの思考のバイアスがかかったことを書きそうだ。…っていうか、前回「虚実篇~軍争篇」について書いたが、かなりボクのアレンジが加わった内容になったと思っている。

が、引き続き暖かい目で読んでいただけると幸いだ。


8. 九変篇 - 総合的な判断力を身につける

「将、九変の利に通ぜざれば、地形を知るといえども、地の利を得ること能わず。」
- リーダーが臨機応変でなければ、たとえ状況を良く把握していたとしても、それを最適に生かすことはできない。

リーダーに必要なのは総合的な判断力だ。
孫武は、軍を壊滅させ、将を死に追いやるのは、以下の五つのリスクだと説いている。

「故に将に五危あり。必死は殺さるべきなり、必生は虜にさるべきなり、忿速は侮らるべきなり、廉潔は辱しめられるべきなり、愛民は煩さるべきなり。およそこの五者は将の過ちなり、兵を用うるの災いなり、軍を覆し将を殺すは必ず五厄を以ってす、察せざるべからず。」

この「五危」を現代風に意訳するとこんな感じだろうか。
1. (必死)こだわりがすぎること
2. (必生)言い訳しすぎること
3. (忿速)感情的になりすぎること
4. (廉潔)正義感が強すぎること
5. (愛民)寛大すぎること

リーダーの考えや行動が、この5つのどれかに偏ってしまうと、いずれ「軍を覆し将を殺す」ことになると心得ておかなければならない。

9. 行軍篇 - 敵の心理と部下の心をつかむ

行軍篇ではリーダーの統率力とチームメンバーとの信頼関係の構築について書かれている。

「軍擾るるは、将重からざるなり。」
- チームの統制が取れないのは、リーダーに重みがないからである。

「しばしば賞するは窘むなり、しばしば罰するは困しむなり。」
- 賞を乱発するのはエンゲージメントが低下している証拠であり、罰を多用するのはリーダーシップが低下している証拠である。

組織の統制を取るためには「信用必罰」の考えが必要になる。
信賞必罰とは、功績があれば必ず賞を与え、罪があれば必ず罰することだ。これなしで組織が一定の成果を出すことはできない。

しかし、信賞必罰が一定の効果を生みためには、まずリーダーがリスペクトされる存在であることが必要であり、そして賞罰の規定が公平で、そこにリーダーの個人的な好き嫌いなどの感情が入らないことが重要だ。

そして、孫武はこう説いている。

「兵多きは益とするに非ざるなり。ただ武進することなく、もって力を併せて敵を料るに足らば、人を取らんのみ。それただ慮りなくして敵を易る者は、必ず人に擒にされる」
- チームはただ人数が多ければいいというものではない。チームに規律がない状態で猛進してしまったり、慢心してしまったりすると、必ず痛い目に合う。

「卒、未だ親附せざるにしかもこれを罰すれば、すなわち服せず、服せざればすなわち用い難きなり。卒すでに親附せるにしかも罰行なわれざれば、すなわち用うべからざるなり。」
- リーダーとチームメンバーの間に信頼関係が成り立っていないのに懲罰を行うと、罰せられた人は納得しない。納得していない状態では、リーダーはその人を上手く使いこなすことができないだろう。逆に信頼関係が成り立っていることを理由に懲罰を行わないとなると、周りの人が納得しなくなる。


「故にこれに令するに文を以ってし、これを斉うるに武を以ってす」
- だから、部下に指導をするときは文(優しさ)をもって行い、命令するときは武(厳しさ)をもって行わなければならない。

孫武が説いていることは非常にシンプルだ。
リーダーはリスペクトされる存在であるべく、日ごろから努力を続けていなければならず、まずそのベースを持ち合わせた上で、優しさと厳しさをもって、メンバーに公平に接しなければならない。


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