事故対応18年の担当者が語る、ファーストコンタクトの大切さ
ある日、ソニー損保の損害サービス部門のスタッフにあててお客様からこんな声が寄せられました。
【お客様の声】
入社のきっかけの1つは同僚の事故
今回、事故対応にあたったのは、現在入社18年目のNさんです。
Nさんはもともと代理店型の損害保険会社に勤務していました。その後、他業種を経て2005年にソニー損保へ入社しました。
入社したきっかけの1つは、前職の同僚がバイク事故で大ケガをしたことです。同僚の力になれることはないかと考えた時に、これまでの経験ではできることに限りがあり、改めて損害保険会社で働きたいと思ったといいます。
当時、ソニー損保は開業から数年のまだ新しい会社だったため、Nさんは可能性を感じました。面接官と話も弾み、自分に合う職場だと思い入社を決めたといいます。役職に関係なくお互いを「さん」づけで呼ぶ社内の雰囲気も気に入りました。
Nさんが最初に勤めた損害保険会社は、代理店を経由してお客様とやり取りをしていました。そのためお客様と直接話せる機会は多くはありませんでした。
「事故状況だけではなく、悲しみ、憤りなどさまざまなお気持ちを直接聞かせていただいたり、事故から時間が経過すると世間話などもしていただき、直接コミュニケーションがとれるので、対話が好きな私にはソニー損保の仕事は合っています」とNさん。
入社18年目であるNさんは、常時複数の事故案件を担当しています。事故が解決したお客様から「とても満足・期待以上の対応だった」とお礼の言葉をいただくときにやりがいを感じ、モチベーションが上がるといいます。
双方の意見がぶつかるときは、細心の注意を払う
冒頭のお礼の声を送ってくださったお客様のことをNさんは「よく覚えています。40代の女性でいらっしゃいました」と振り返ります。
「お電話をすると、そばに小さいお子様がいらっしゃいました。電話をかける時間帯を日中にするようにしたり、『今はお子様は大丈夫ですか』と声をかけたりしていました」
事故は、契約者であるお客様が十字路の交差点を左折する際に、右から直進してきた大型トラックと衝突したケースです。双方にケガはありませんでした。一般的には、直進しているトラックが優先され、お客様の責任割合のほうが大きいとされる事故でした。
ただし、責任割合については、双方の見解が相違していました。
相手方はお客様にすべての責任があるという主張でしたが、お客様は相手方が車線変更したため相手方にも基本割合以上に責任があるのではないかと、責任について大筋では認めながらも、一部納得されていない様子でした。Nさんはドライブレコーダーなどから事故当時のデータを入手して調べましたが、お客様が主張する場面の映像は残されていませんでした。
「責任割合は最初にもめてしまうと、こじれてしまうこともあります。ですから、まずは双方の話や相手の保険会社の話をよく聞き、細心の注意を払いました」
Nさんが丁寧に交渉を進めた結果、責任割合はお客様が9、相手は1で合意。1ヵ月半ほどで、解決に至りました。
信頼関係構築は、ファーストコンタクトが重要
Nさんが事故対応をするうえで、心がけていることは、ひとりひとりのお客様に時間をかけて丁寧に対応することです。
特に大事にしているのが最初にお客様に電話をかける時。
「信頼関係が最も構築できるのは初動=ファーストコンタクトだと思います。お互いに第一印象は大切だと思います。担当を信用していただき、ご安心いただきたいと思い、初動対応しています。忙しいからといって事務的な内容だけで終わってしまうと、後でうまくいかなくなることが多いように思います。お互い“第一印象”はとても大切です。」
Nさんが自身の失敗から学んだことです。
信頼関係を築いた後に電話をかけると、お客様の声のトーンが明るく変化することがあるといいます。Nさんはお客様から連絡をいただく前に、こちらから連絡するように心がけています。
「お客様にあわせた連絡頻度で、またお電話してもよろしいでしょうか?などと、お客様の状況やお気持ちを伺うようにしています」
今回のケースも最初の電話で丁寧に話を聞きお客様と信頼関係を構築できたからこそ、「担当者の方とたくさんお話をして頑張ってくださったと感じました」という言葉につながったのでしょう。
「事故の相手の方や保険会社と話すたび、状況についてお客様に報告していました。ソニー損保の事故対応における基本動作『ワンアクション、ワンフィードバック』を意識しています」
また、事故対応が一定期間を経過すると配信されるアンケートを通じて、連絡方法や、責任割合など「事故対応においてこだわりたいポイント」を確認し、考慮しながら進めるそうです。
精神面はどうサポートしたのでしょうか。
「お客様は大筋では責任を認めたうえで、一部に納得いかない思いを抱えていました。私が行ったことは、お客様の立場で考えるよう努めたことです。そうすると『基本はこうなのですが、お客様のお気持ちはよくわかります』と、自然にお客様のお気持ちを慮る言葉が出てきます」
だからこそ、今回のお客様のケースも「気持ちを理解してくれ、精神的に支えてくださった」という感謝の言葉に結びついたのかもしれません。
将来はCX推進部門で横断的に顧客対応を高める仕事をしたい
18年間のキャリアにおいて、Nさんは事故対応サービス以外のスキルも取得しています。
事故対応サービスで経験を積んでから15年がたったころ、Nさんは自ら希望して別の部署に異動し、経験を積む「社内留学制度」を利用しました。この制度により、ソニー損保のもう一つのお客様対応部門であるカスタマーサービス部門で、主に新規でご契約を検討されているお客様からのお問合せなどに対応するコールセンターの仕事に就いたのです。
Nさんは「1人のお客様と時間をかけて信頼関係を構築する事故対応に対し、カスタマーサービス部門では短時間で毎回異なる多くのお客様とやり取りをしなければなりません。短時間で信頼関係を構築する難しさが分かり、自分の経験値が上がりました」と振り返ります。
18年間、事故という非日常のやり取りをする中で、お客様からの強い言葉に落ち込んだこともあるといいます。一方で「『Nさんで良かった。次回も対応してほしいです』と声をかけられたり、事故の相手から『私も次はソニー損保に入ります』と言っていただいたりすることが仕事のやりがいにつながっています」と話すNさん。
「まだまだ未完成な状態です。先輩だけではなく、後輩からも新しい知識を取り入れ、社外セミナーに参加するなどして自分の業務に生かしたいです」
将来的にはCX(カスタマーエクスペリエンス)を推進する部門で、ソニー損保のお客様対応全体をより高めていくための仕事もしたいと考えています。
まとめ
今回は事故対応の最前線で働くNさんにお話を伺いました。落ち着いた声のトーンで、ご自身の言葉で話すNさんのお話は業種を問わずどの仕事でも参考になりそうです。
今後も現場スタッフに関する記事をnoteに投稿していきますので、引続きよろしくお願いいたします。
上記内容は掲載当時のもので、現在と異なる場合がございます。