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「エルフちゃん開発者コミュニティ」のイベントに潜入!

ソニー広報部のMTです。
これまで当チャンネルでもご紹介している「空間再現ディスプレイ」。
裸眼で高精細な立体映像(3DCG)を見ることができ、2023年には27インチに大画面化した新製品「ELF-SR2」も発売しました。美術館、博物館やイベントでのディスプレイ用途に加え、教育・研修医療の現場デザイン領域でも活用いただいています。

この「空間再現ディスプレイ」、ありがたいことに発売直後からこの商品の可能性に注目し、コンテンツやアプリの開発を続けてくださっている開発者コミュニティが存在します。今回、そのコミュニティが空間再現ディスプレイづくしのイベントを開催すると聞きつけ、お邪魔してきました。


開始早々に大賑わいのイベント会場

冷たい雨の降る2月某日、秋葉原の一角にあるイベントスペースに、見るからに熱気にあふれたスペースがありました。近づくと「ELF-SR ViSON 2024」の看板が。

ELF-SR ViSON 2024 イベント会場へ
開始早々、多くの来場者でにぎわっていました

主催は「ELF-SR開発者コミュニティ」。空間再現ディスプレイは「ELF-SR1」「ELF-SR2」の2機種を発売しており、読んで字の如く、型名を冠したなんの誤解の余地も残さない命名です。一見公式のコミュニティか?と思いますが、完全に有志で運営されています。
ちなみに、空間再現ディスプレイはコミュニティ内で「ELF(エルフ)ちゃん」という愛称を与えられており、あふれ出る愛情をひしひしと感じます。

クリエイターのアイディアが溢れる展示の数々。ソニー社員有志の出展も!

今回のイベントには16組が出展し、空間再現ディスプレイを使ったコンテンツを披露していました。VRソーシャルと組み合わせたアイディアや、外部センサー・デバイスと組み合わせてインタラクティブ性を楽しむもの、高精細なディスプレイを存分に活かしてリアリティ溢れる体験ができるもの。志向はそれぞれですが、「空間再現ディスプレイ、こう使ったら面白い!」という情熱が伝わってくるコンテンツばかりです。本当は全部ご紹介したいのですが、ここではいくつかピックアップしてご紹介します。

ころがりうむ クリエイター:ウダサン(@udasan_koubou)
ビー玉から生まれるふしぎないきもの「ころがりあん」のすみか、『ころがりうむ』。空間再現ディスプレイ上に現れる「ころがりあん」達をコントローラーで打ち返しながら、次々と現れる障害物を突破してクリアを目指すゲームです。目の前のリアルな「ころがりあん」の映像に加え、キューブ型ロボットトイ・toio(トイオ)を活用したコントローラーからのフィードバックと効果音により生み出される「ぶよっ」「ぷにん」という感触が楽しく、ついつい「もう一回!」と延長戦をお願いしてしまいました。

Lulu & Lara クリエイター:Believe us not(@believe_us_not)
ルルとララはふたごの小さきもの。鉄琴を叩くとまねして演奏してくれます。ぜひ映像を見ていただきたいのですが、シンプルに「え?これどうなってるの?」という驚きとともに体験しました。
空間再現ディスプレイによるリアルで自然な立体映像により、画面より手前に置かれている鉄琴を、ルルとララが本当に叩いているように見えます。

ELF-"SR20" Racing Simulator クリエイター:ごんびぃー(@GONBEEE_project)
空間再現ディスプレイ「ELF-SR2」とドライビングシミュレーターを組み合わせたレースゲームです。実在するドリフトレースの車両を最先端のスキャン技術で3DCG化。高精細な立体映像で、「普段は乗ることができない車両を視覚的に体験する」「車両カラーリングやホイールフィッティングを試す」といった、様々な方向性で楽しめます。
車両やサーキットの美しい立体映像だけでなく、カーブを曲がる際に頭を傾けると、コーナーを抜けた先をのぞき込むことができます。フロントガラスを通して仮想空間をのぞき込んでいるような、空間再現ディスプレイならではの走行体験だと感じました。

等身大召喚装置 クリエイター:SRD探検隊
会場の中ほどで存在感を放っていたのがこちらの展示でした。空間再現ディスプレイ「ELF-SR2」を縦に3台連結し、等身大の3Dアバターを現実空間に召喚するアイディアです。インタラクティブ性やゲーム性のある展示が並ぶなか、「大画面」という価値を追求した、シンプルでありながらインパクトのあるデモでした。
説明員を探していると、見知った顔がちらほら。そう、実はこの展示は、ソニーの空間再現ディスプレイ開発チームが、一出展者としてイベントに参加し披露しているものでした。
1台のPCから、3台の「ELF-SR2」に映像を出力しており、シンプルな構成で大画面の空間再現ディスプレイ体験を作り出しています。あくまで参考出展のため、このアイディアが公式にサポートする機能としてリリースされるかは未定ですが、来場者から高い関心を集めており、今後の展開に注目です。

「ELF-SR2」を縦に3台連結し、等身大のアバターを現実世界に召喚できます。

主催者にインタビュー。コミュニティの活動について教えていただきました

ELF-SR開発者コミュニティを主催するのは朱護あかねさんこと、マルチクリエイターの山口守さん。27インチの空間再現ディスプレイ「ELF-SR2」を発売と同時に購入いただき、開発者・クリエイターに無償で(!)貸し出して、X(旧ツイッター)上で作品を公開するリレー企画を主催されています。また、Discord上でELF-SR関連の開発コミュニティサーバーも立ち上げて運営されています。
エルフちゃんを大事にしてくださっているお礼をお伝えせねばとご挨拶したところ、イベント運営でお忙しい中にも関わらず、会場でインタビューに応じていただきました。

イベント主催者の山口守さん(お顔はアバターでご出演)

いつもエルフちゃんがお世話になっております。早速ですが、山口さんは普段どんな事をされているのでしょう?

SWエンジニアやゲームエンジニアではなく、本職は広報なんです。自分で機材を買ってデモアプリや表現を考えるのが好きで、これまでにもハプティクスのデバイスなど、多くの機材を試してきました。

空間再現ディスプレイに関心を持ってくださったきっかけを教えてください。

ELF-SR2が発表されたとき、面白い!と思って、予約開始と同時に注文し、発売日に手に入れました。自分が仮想空間に入っていくVR機器は多いですが、空間再現ディスプレイは仮想空間を現実に持ってくることができますよね。ここがユニークだと思います。

リレー企画を始めたきっかけは何だったのでしょう?

これまで他のデバイスも色々見てきて、「面白い!」と思っても、最初はバズるんだけど盛り上がらず終わってしまうパターンを目にしてきました。SDKのサポートが止まってしまったりするんですよね。
VR機器って5万円~10万円くらいでも手に入るものが多いなか、55万円(「ELF-SR2」ソニーストア直販価格)の空間再現ディスプレイは、気軽には手が出せないと思います。まず開発者やクリエイターに触ってもらいたい!という思いでリレー企画を始めました。
空間再現ディスプレイのSDKアップデートが続くためには、ユーザー・開発者が一人でも増えて、クリエイターが何を求めているかをソニーさんに伝え続けることが大事だと思います。リレー企画をやれば、継続的に新しいコンテンツが出てくる。そうやって定期的にコミュニティで話題になることが大事だと思って、リレー企画を始めました。

リレー企画にはこれまでにどのくらいの方が参加されているのでしょう?

一人あたり3~4週間お貸出ししています。2023年6月にスタートして、2024年2月現在で13人がリレーに参加してくださいました。一か月に一つ以上、新しいコンテンツがゼロから生まれていることになります。

今回イベントを開催された経緯は?

実はリレー企画を始めるにあたって、イベントを開催することを宣言していたんです。このタイミングでコンテンツの数も増えてきましたし、ゲームやインタラクティブなものも出て来て、よいタイミングだと思って開催しました。

開発者・クリエイターの方の反応はどんな感じでしょう?

「面白い!けど何に使ったら面白いだろう?」というのが共通の反応です(笑)。ゲームの歴史を最初から辿っているようだと感じています。
空間再現ディスプレイはあくまで「ディスプレイ」ですよね。これまでのディスプレイって、コンテンツのビューアーとしてだけでなく、ゲーム等インタラクティブ性のあるアプリケーションでも使われています。同じように、空間再現ディスプレイをセンサーや入力デバイスと組み合わせると、途端に面白くなると思います。今回の展示でも、それは実感してもらえると思います。

Discord上でも活動されていると伺いました。どなたでも参加できるのでしょうか。

はい、現在70名くらいの方が参加してくださっていて、関心のある方はどなたでも歓迎です。空間再現ディスプレイの新しいSDKがリリースされるたびに、すぐにDiscord上でも更新情報としてお伝えしています。


今回のイベントやインタビューを通して、空間再現ディスプレイが多くの情熱溢れる開発者に支えられていることを実感し、感謝の思いでいっぱいになりました。そして同時に、ソニーが新しい映像技術を提示することで、クリエイターの皆様にインスピレーションを与えている様子も垣間見ることができ、嬉しく思いました。

ソニーでは、小型で軽量なセンサーとスマートフォン向け専用アプリケーションのみで、モーションキャプチャーやVRへのリアルタイムなモーション入力を実現するモバイルモーションキャプチャー『mocopi™』や、先日開催されたCES 2024でお披露目した、空間コンテンツ制作における高度なクリエイティブ作業に対応する没入型空間コンテンツ制作システムなど、3D制作領域で新しいテクノロジーや商品により感動を作り出すことに貢献していきます。今後もクリエイターコミュニティとの共創の様子をお届けしたいと思っています。

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執筆:広報部MT
「空間再現ディスプレイの魅力をより多くの方に
体験いただきたいです!」