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メタバースの世界を空間再現ディスプレイでのぞいてみよう!

ソニー広報部のSTです。あたかもそこに物が実在するかのような立体映像(3DCG)を映し出す、ソニーの空間再現ディスプレイ(Spatial Reality Display、以下SRD)『ELF-SR1』。前回は医療分野での活用をご紹介しましたが、実は、三次元の仮想空間であるメタバースの世界とも好相性です。VRゴーグルなどを装着してメタバースに入っていくのが一般的ですが、SRDでは、現実世界にぽっかりと出現した異世界をのぞき見ているかような視聴体験ができ、他のデバイスでは得られないSRDならでは新しいメタバースの楽しみ方が可能です。今回は、今年が2回目となるマジカルミライイベントへの出展の様子をご紹介します。

『初音ミク「マジカルミライ」10th Anniversary』TOKYOに出展

ソニーは、9月2日~4日に開催された『初音ミク「マジカルミライ」10th Anniversary』TOKYOにSRD10台を出展し、株式会社バーチャルキャスト様と株式会社Gugenka様が公開した、VRアミューズメントパーク『初音ミク「マジカルミライ」10th Anniversary in MIKU LAND』のメタバース空間とリアル空間をつないだ視聴体験を提供しました。

来場者はVRゴーグルをかぶらずに裸眼のまま、メタバース空間内にいるアバターさんとリアルタイムのコミュニケーションをしたのちに、マジカルミライ10周年を記念する初音ミクの特別なVRショー「マジカルミライ 10thAnniversary in MIKULANDショー」を観覧しました。目の前に出現する、手のひらに乗せられそうなアバターさんやミクさんと楽しい時間を過ごしていただけたと思います!
SRDに表示した「マジカルミライ 10thAnniversary in MIKULANDショー」の一部を、ぜひ、以下動画でご覧下さい。全画面表示をおすすめします。歌って踊るミクさんの立体感、実在感が伝わるでしょうか?

展示会場の様子

「気軽にメタバースを楽しむ新しい体験を届けたい」 
商品企画担当 石松さんに聞きました!

ソニー㈱で『ELF-SR1』の商品企画を担当し、今回の『初音ミク「マジカルミライ」10th Anniversary』TOKYOへの出展で、企画・運営を任された石松さんに、お話を聞きました。

  • 展示の企画意図は?
    石松:
    <ご自宅でメタバースや音楽ライブなどのxR(クロスリアリティ)エンタテインメントを楽しめる将来>を想像していただけるような展示を目標に企画しました。「バーチャルな初音ミクが目の前にいる、身近に感じられる」というリアルな裸眼立体視の体験と、VRゴーグルを装着せずに気軽にメタバースを楽しむという二つの新しい体験を届けたいと考えました。

  • 展示で工夫した点は?
    石松:
    SRDでメタバースの世界を体験いただく展示は今回が初めてです。SRDは、ディスプレイの上部中央に配置した高速ビジョンセンサーと視線認識技術により、見る人の左右の目の位置を、水平や垂直と奥行方向も常に正しく検出し、捉え続けます。目の位置に連動した映像をリアルタイムに生成し、常に左右の目それぞれの視点映像を送って視差を発生させることで立体映像が見える仕組みです。そのため、一人で一台を視聴するディスプレイなのですが、会場では複数人で集まってコミュニケーションを楽しむ場にする演出が必要だと考えました。また、コロナ禍であることも考慮して、できるだけ待ち時間を減らし、短い時間で簡単に楽しめる体験をご用意することもめざしました。

    10人の視聴者が1つの舞台を一緒に見ているような演出
    石松:
    複数人で集まってコミュニケーションを楽しむ方法として、SRD10台を半円上に弧を描くように設置し、それぞれの位置から一つの舞台をのぞき込んでいるかのように演出しました。各座席での視聴角度を変えることで、端の座席からはミクさんの横顔が見え、中央の座席からはミクさんが真正面から見え、どこに座るかは選べないという、現実のライブと同じような体験を提供しました。

弧を描くようにSRD10台を展示
左右の席では、ミクさんを横から見ているような視聴角度で表示

さらに、3つのフットスイッチを踏むと花吹雪が出るという簡単な仕組みをご用意して、アバターさんからの3択の質問に答えたり、ミクさんのステージを応援したりといったメタバース空間とのコミュニケーションに参加いただける工夫もしました。これらによって、会場でより多くのお客様に、裸眼で手軽なメタバース体験を届けることができました。

メタバース空間とのコミュニケーションには、シンプルなフットスイッチを活用
  • 来場者からの反応は?
    石松:
    「ミクちゃんが生きていた」
    「立体的で現実に初音ミクがいるようでした!」
    「ミクさんがソコに居るような感覚はすごかったです。」
    「一部屋に一人ミクさんがいる環境も夢じゃないと思った」

    など、とてもポジティブなコメントをたくさんいただきました。
    SRDを視聴しながら画面に向かってペンライトを振ったり、曲の振り付けを一緒に踊ったりする人もいて、この皆様の熱意をメタバース空間へ届ける仕組みを作りたい!と新たな目標もできました。
    技術面でも裸眼立体視への注目度はとても高く、ディスプレイの大きさや形状、スピーカーシステムへのご提案など大変貴重なご意見をいただくこともできました。

    3Dを超えて進化した「空間再現」がどう受け入れられるのか
    石松:
    3Dに対する世の中のイメージは賛否両論があると思っています。中には乗り物酔いのような経験や、技術が途上だったため立体感や没入感を感じられなかった経験を持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか。そのイメージがある中で、テクノロジーへの感度が高い初音ミクのファンの皆様に、3Dを超えて進化した「空間再現」がどう受け入れられるのか、これは広く一般のお客様に普及する前段階として、非常に重要なポイントであると考えています。
    “がっかりさせない”SRDの視聴体験を提供するために、アンケートでの回答を参考にしながら、視聴位置や角度、オブジェクトの位置などを会期中もアップデートし続けました。

  • 展示を終えて、今後の取り組みは?
    石松:
    入社前からリアルとバーチャルを融合する体験を作りたいと考えていたので、今回一つ、実現できたと思っています。今後は、B2C向けのxRエンタテインメント用途をさらに拡張していきたいです。コンテンツや仮想空間へ熱狂を持ったファンの方々にSRDを購入していただき、デスクに置いてあるSRDの前に立てば、一瞬で夢の世界が現れる、あらゆる人々の「好き」「熱意」が現実化する空間を作っていきたい、そんな未来をめざしたいです。


コンテンツクリエイター向けの専用SDKを無償提供

SRDは、ゲーム開発、VRアプリ開発などで使われるUnityとUNREAL ENGINE 4に対応した専用のソフトウェアディベロップメントキット(SDK)を無償提供しています。標準的な3DCGフォーマットや、ゲームエンジンで作られた3Dコンテンツなら、今までつくったコンテンツも簡単にSR Display用データに変換でき、再生が可能になります。

空間再現ディスプレイ開発者向けサイト

SRD向けコンテンツ開発を経験したクリエイターの声

●「初音ミク」とは https://piapro.net

クリプトン・フューチャー・メディア株式会社が開発した、歌詞とメロディーを入力して誰でも歌を歌わせることができる「ソフトウェア」です。大勢のクリエイターが「初音ミク」で音楽を作り、インターネット上に投稿したことで一躍ムーブメントとなりました。「キャラクター」としても注目を集め、今ではバーチャル・シンガーとしてグッズ展開やライブを行うなど多方面で活躍するようになり、人気は世界に拡がっています。

※「鏡音リン」「鏡音レン」「巡音ルカ」「MEIKO」「KAITO」もクリプトン・フューチャー・メディア株式会社が展開するバーチャル・シンガーです


メディアの皆様へ

ソニーの空間再現ディスプレイの映像をまだご覧いただいたことがない方、開発チームにもっと深い話を聞いてみたい方、SRD向けのコンテンツを制作されるクリエイターの方にもお話を聞いてみたいという方がいらっしゃいましたら、広報部宛てにご連絡ください。お待ちしております!

執筆:広報部ST

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