人事(ジンジ)と人事(ヒトゴト)と

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生きる上で欠かすことのできない水。
ヒトの約65%は水で出来ていると言われており、海外では川を取り合うために戦争も起きているほどだ。

かくいう私も、年金をおさめる立派な人間。
水分は必要不可欠であり、スズメの(あくびの時ににじんだ程度の)涙であるお小遣いを削っては、毎日毎日ファンタオレンジを飲んでいる。

ある日のこと。
他県のオフィスに訪れた時の事である。

この日も例によって、ファンタオレンジを買いにオフィスを出たものの見つからず。
「ファンタオレンジでなければ水分じゃない!」という熱きマニフェストを胸に帰社。

脱水で往生しようとも我が生涯に一片の悔いなしと思いながら社内を歩いていると、目の端に太陽のごとくまばゆい物体が。

なんということでしょう!
そこには石油王だって家宝にするであろう、ウォーターサーバが!!!

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まるで都会のオアシス。
ヤンキーにとってのドンキ。
モグラにとってのレーシック。

一も二もなく飛びつき、水を10杯飲んだわたしは、ふと考えた。
なぜ、自分が普段いるオフィスにはウォーターサーバーがないのか?

ファンタオレンジでなければ、喉は潤わない。
だがしかし、水だってあれば飲んでやってもいい。

金曜日にはタライちゃっぷちゃぷに水を汲んで、週末水パを開催してやってもいい。

不公平である。
勤務先によって、待遇に差がある。

しかもこのウォーターサーバーは、何年も前から設置してあるらしい。
許せない。

この遺恨を断ち切るには、我がオフィスにシルク・ドゥ・ソレイユの舞台を常設してもらうくらいでないと、つじつまが合わないのである。

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というわけで、毎月人事から送られてきて、自分の体調や気分を3段階で評価するシステムに『すべてにおいて絶不調』と入力。

そしてコメント欄には「なぜわたしからオアシスを奪うのか?雨でも汲んで煮沸すればいいのか?煮沸用のアイランドキッチンは経費で落ちるのか?」と記載したのである。

すると人事から「面談設定のご案内」という旨のメールが届いた。
内容としては、「必要であれば人事部のマネジメントクラスと面談を設定します」というモノだ。

もちろん、受信から10秒で「おねがいします!いつになりますか?今からでも大丈夫です!」と返信。

仁王立ちのまま返信を待ち続けること5時間。
ようやく帰ってきたメールには「すみません、やはり面談はまたの機会でお願いします」という、偏差値マイナス10000マラカス大学きなこ美味しい学部な返信が!

許せません。
オアシスは?アイランドキッチンは?レーシック手術は?

いや、それよりなにより問題なのが、わたしの投稿のコメントをロクに確認せず、とりあえず面談しましょうか?といってくる神経である。

なんだ?
「コメントがかかれた野球ボールを160kmで投げて、読めなければとりあえず面談を設定する」みたいなレギュレーションなのか?

ハッキリ言って、彼・彼女たちの仕事は人事(ジンジ)ではなく、人事(ヒトゴト)なのである。

仕事には価値観があるので、それが間違いとは言わない。
が、僕が人事なら、相談者と一緒に朝からオフィスに井戸を掘ることだろう。

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最近、社員のコンディションをはかるシステムを導入する会社は多い。
だがその一方で、「社員のコンディションは良いのに退職者が減らない」という悩みも増えているのである。

理由は簡単だ。
「人事に相談する価値がなく時間の無駄だ」と適当に入力されているのである。

手段を増やすのは大切。
だがまずやるべきことは、自分たちの存在価値がなんであるかを考えることだ。

これは職種を問わず言えること。
とはいえ「存在価値とかに興味なく、ただ食べれたらいい」という方もいるだろう。

長い社会人生活、ただ食べるにも社内に味方は多いほうが良いと思う。
そして困った時に味方になってくれるのは、常に自分が味方した人だ。

だからこそ、長期的に自分が安心するために存在価値を考え、全社員がウィンウィンになるべきだと考えている。


【担当ライター】
NAME:鋭角および腰
テレビ番組のADとして獣のような社会人生活をスタート。転職を繰り返す中で徐々に人間の常識を取り戻し、ようやく敬語を思い出し始めた。

「ITやモノづくりの世界を身近に感じてもらいたい」そんな思いでこのnoteを始めました。書き手は全員転職経験者。実体験にもとづくエピソードや、転職に役立つかもしれない小ネタ、気になるニュースなどをざっくばらんに更新していきます。気に入っていただけたら、ぜひサポートをお願いします!