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百二話 モーニングセットのトースト

喫茶店『天使の扉』で、お嬢様に接客している私…。
お嬢様に色んなところを触れて…。
ようやく解放されたと思ったら…。
お嬢様の座席の空いたスペースに座れと言われてしまう…。
やっと翼さんのところに、帰れると思ったのに…。
私は、おそるおそるお嬢様の隣に座るのだった…。
お嬢様は、私の手を握って、指も絡ませて、私に囁く…。
子猫ちゃんは、私の獲物よ…と。
絶対逃がさないとも…。
私は、このお嬢様の獲物なのかな…?
私は、このお嬢様に狩られてしまうの…?
どう言う意味なんだろう???
今までの経緯を鑑みると、性的な意味を多分に含んでいるのだろうか…?
それとも、本当に命を狩られてしまう…?
お嬢様の綺麗な瞳が、一瞬黄金色に輝いて見えた…。
お嬢様に、握れている指から腕にかけて、ゾクゾクとした寒気が伝わる…。
その寒気が、肩から背中にかけて駆け巡り、全身に伝わる…。
私は、ゾクゾクとした寒気に似た感覚で、身体がビクンビクンと反応してしまう…。

「ふふふ…。指を絡ませただけで、感じちゃうの…?いけない子猫ちゃん…」
何を勘違いかしたのか…。私の反応を見てお嬢様が囁く…。
「わかってるわ…。快楽じゃない反応よね…。でも…」
お嬢様は、私の指から腕にかけて、指を這わせる…。
お嬢様の指が這い寄った後に、ものすごい寒気が走り鳥肌が立ってしまう…。
「そのゾクゾクとした感触、快楽に変えてあげることもできるのよ…?」
お嬢様は、私の耳たぶを甘噛みしながら囁いてくる…。
私は、そんなこと望んでいないと、首を横に振ることしかできなかった…。
「お嬢様、せっかくのモーニングセット冷めてしまいますよ…?」
そこに、ニコニコ接客スマイルの翼さんが、提言してきた…。
翼さんの一言で、お嬢様は私の指を離してくれた…。
お嬢様は、それもそうね…と言いつつ、トーストを食べようとした。
トーストの上にバターを乗せ、それをフォークで染み込ませる…。
トーストの熱さで、バターはすぐに溶けて、染み込んでいくのだ…。
お嬢様は、フォークとナイフで器用にトーストを切り分けていく…。
そして、それをなぜか、私の口元に持っていくお嬢様…?
フォークに刺さったトーストが、私の口元に差し出される…。
トーストを食べろってこと…?疑問で頭がいっぱいだった…。
「私、どんな物でも、誰かが毒味してくれないと食べれないの…」
毒味…?トーストに毒なんて入ってないでしょう…?
「ここのお店でそんなことは万が一でもないでしょうけど、念のためにね…?」
お嬢様は、蠱惑的な笑みを湛えて、こちらを見てくるのだった…。

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