三百五十八話 東京砂漠

「ごきげんよう」「神のご加護を…」

朝の清冽な空気の中、女子生徒の挨拶がこだまする…。

学校の校門をくぐると、そこは身も心も清らかな乙女の園…。

そう、ここは神田ミカエル女学院…。

中庭の大天使ミカエル像が、通う女子生徒たちを守護している…。

天界の大天使ミカエルは、ここに通う女子生徒たちを見て何を思うか…?

その御心は、まさに神のみぞ知るということなのだろう…。

ここに三年間通えば、お淑やかなお嬢様になって卒業できるという…。

制服は翻さないように、静かに歩き…。

清廉潔白で文部両道、それでいて純粋無垢な心を持った乙女たち…。

この学院には、そういった生徒しか存在しないのです…。

否、今日から新たに校門をくぐった、たった一人の生徒を除いて。


冬休みのある日…。

外は冷たい風が吹いているというのに…。

グレモリーはすぐにサタン様に会いましょう!と言う。

私は寒いので、ずっと炬燵に入っていたい…。

でも、私は炬燵から無理やり出されてしまった…。

この寒い中、サタン様に会いに行くというのか…。

しかも、サタン様はすごい怒りっぽい性格のご様子。

七つの大罪でも、憤怒を司っているのです。

会うだけで、怒られそう…。

私はサタン様と会うのがとても憂鬱だった。

それでもグレモリーに連れられて、家を出る私…。


家から出たあと、歩きながら…。

私はグレモリーにサタン様がどこにいるかを聞いてみた。

グレモリーの話によると、サタン様は新宿にいるという…。

しかも、新宿都庁で働いていて…。

都知事を目指していたけれど、なれなくて…。

都知事の元で、秘書をやっているという…。

現都知事の女性の御威光がまだ十分強いそうだ。

ちなみに秘書の正式名称は、政務担当特別秘書という名称。

本来都知事の指名がなければなれないそうだが…。

サタン様は魔力を使い、秘書になれたという。


程なくして、最寄りの駅に着いた私たち…。

グレモリーからICカードをいただいて…。

駅の改札を通る…。

私たちは山手線で、新宿を目指した。

電車内はなかなか混雑していて…。

痴漢とかいなければいいけれど…。

と心配になってしまう私であった…。

そのすぐ後、私のお尻を触る不埒な輩がいて。

でも犯人はグレモリーだったのである…。

本当にびっくりさせないでほしい…。


そんなことがありながらも…。

数十分後、私たちは新宿に着いた。

新宿駅の構内はかなり複雑な構造で…。

新宿駅は構造が極めて、複雑怪奇で…。

迷う人が多数いるという…。

駅から出られない。遭難者が出るらしい…。

とかそんなバカな…。と言う噂も多数聞くらしい…。

世界一の乗降客数を誇る新宿駅…。

ギネスブックにも載っているらしい…。

1日で360万人以上の乗降客数がいるらしい…。

電車が着いたホームからして結構な人混みだった。


新宿駅は日本でも有数のターミナル駅で…。

新宿駅はJR、京王、小田急、東京メトロ、東京都交通局の5社が乗り入れる。

路線数は10本以上。だから複雑な構造をしているのかもしれない。

出口も例えば、南口を目指すとして…。

南口、東南口、小田急線の南口と三つもあるのである…。

東口は東口と中央東口と二つあって…。

なんで、そんなに出口を増やしてしまっったんだ…。

と呆れてしまう複雑な構造なのである…。

西口に至っては西口、中央西口(出口専用)、中央西口(京王口)

小田急の西口地下改札、京王の京王西口、京王百貨店口。

西口の数もかなり多い…。


都庁に行くには、西口から外に出ればいいらしい…。

その西口が複数あるのですが…。

普通の?西口を目指せばいいらしい。

「ご主人様、私からはぐれないようにしてくださいね」

グレモリーが後ろを振り返り、そう言った…。

言われなくても、はぐれたら私は迷子になってしまう。

私は必死にグレモリーについて行こうとした…。

しかし、平日だと言うのに駅構内はすごい混んでいる…。

前を行くグレモリーの背中が人混みで消え去りそうだ。

グレモリーの背中を見失なわないようにしないと…。

しかし、グレモリーはヒールをカツカツ鳴らして…。

結構早歩きで、歩いて行ってしまう…。


グレモリー、待って!脚が速すぎる…!

ついに、グレモリーの姿は人混みにまみれてしまった。

あぁ、グレモリーの姿見えなくなってしまった!

初めて来た新宿駅は広大すぎて、何処がどこだかわからない。

私は女子高生にもなって、迷子になってしまったのだ…。

私は悲しくて情けなくて、涙が出てきてしまった…。

駅構内の端で、しゃがみ込んで泣き出してしまう私…。

東京の人は冷たくて、誰も私のことは気にも留めない…。

誰も助けてくれない東京砂漠…。

こんなに悲しいことがあるだろうか…?

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