三百二十四話 お風呂入ろう

「ごきげんよう」「神のご加護を…」

朝の清冽な空気の中、女子生徒の挨拶がこだまする…。

学校の校門をくぐると、そこは身も心も清らかな乙女の園…。

そう、ここは神田ミカエル女学院…。

中庭の大天使ミカエル像が、通う女子生徒たちを守護している…。

天界の大天使ミカエルは、ここに通う女子生徒たちを見て何を思うか…?

その御心は、まさに神のみぞ知るということなのだろう…。

ここに三年間通えば、お淑やかなお嬢様になって卒業できるという…。

制服は翻さないように、静かに歩き…。

清廉潔白で文部両道、それでいて純粋無垢な心を持った乙女たち…。

この学院には、そういった生徒しか存在しないのです…。

否、今日から新たに校門をくぐった、たった一人の生徒を除いて。


原宿でマリトッツォを食べている私たち…。

紆余曲折あって、私たちはマリトッツォを食べ終えたのである。

食べ終えた頃には、少し日が翳っていた…。

もう夕方に入りそうな時刻…。

一日って結構早いよね…。そろそろ帰るかな…?

藍さんにそろそろ帰ろう?と促した…。

楽しい時間はすっごい早く過ぎてしまう…。

私と藍さんは帰り支度をして店を後にした…。

少し風も出てきたので、私はまたマントを身につけた…。

マントを身につけた…。なんてRPGみたいじゃない?

なんかファンタジーの世界にいるみたいで…。

漆黒のマントを纏う黒魔道士ノア…。

なんかすごい魔法使えそうじゃない?

なんか、かっこいい私…。

マントを翻しながら、原宿駅を目指す私…。

パーティーメンバーは光の戦士藍さんだ…。

藍さんの眩しすぎるぐらいの戦士姿!

どうせなら、ビキニアーマーを着ていただきたい!

見てるだけでも、眩しいぐらいの陽キャギャル…!

見たものはみんな悩殺されてしまうだろう…。

下級魔族なら、触れただけで浄化されそう…。

それに引き換え、私は見てからに陰キャ…。

魔導士のマントも手に入れ…。

魔族を引き寄せて、召喚してしまいそうな勢い…。

なんでこんなに差がついてしまったのか…?


そんなことを考えていたら、原宿駅に着いてしまった…。

今回は山手線沿線の原宿駅だ…。

あれ?テレビで見た原宿駅と違くない…?

藍さんに聞いたら、改装されてしまったらしい…。

えぇ、なんかかわいい駅舎だなと思って、見たかったのに。

白塗りの壁に緑の屋根で、可愛かったのに〜。

東京都内で木造の駅舎といえば原宿駅だったのに。

なんかめちゃくちゃ新しい近代的な駅舎になってるー!

私たちはそのまま駅舎の中に入ってしまったので…。

わからなかったのですが…。

表参道口と明治神宮口で、かなり違う形になっているそうです。

木造でかなり古くなっていたので、改装は致し方なかったのかなぁ?

そんなことを考えながら、切符を買って電車に乗る…。

電車は混んでいて、藍さんに寄り添って…。

電車に揺られながら、私たちは帰っていくのであった…。


やっと、グレモリーの家に着いた私たち…。

服を買って、スイーツを食べただけど、どっと疲れてしまった。

しかし、玄関のドアを開けた瞬間…。

「お姉さま〜!どこに行っていたのですかー!?」

花子さんがドアを開けた瞬間、私に抱きついてきた…!

すっかり私は花子さんの存在を忘れていた…。

花子さんのどっしりどたぷんな部分が、押し付けられてくる。

「この私を置いて、何処かに遊びに行ってしまうなんて!」

花子さんがすごい勢いで、捲し立ててくる…。

「あ、あの私たちは生活必需品を買い出しに行ってただけで」

私は慌てて、花子さんに言う…。

そう、私の服があまりなかったし…。

結果的に藍さんの下着も買わなければならなかったのだ。

まぁ、それは私が悪かったのだろうけれど…。

「そうそう、うちら可及的速やかに買い物をしただけだし!」

藍さんもそう言ってくれた…。


「本当ですか〜?今度は私も連れていってくださいね〜」

花子さんは私の腕に絡みついてきた…。

「あぁ、もう!くっつき過ぎだし!二人とも!」

藍さんが私たちを引き離した…。

「お姉さま、お疲れでしょうから私とお風呂入りましょう?」

花子さんがお風呂に誘ってくる…。

「ダメ!絶対ダメだし!ノアっちはあっしとお風呂入るの!」

また二人は私の腕を掴んで、引っ張ってくる…。

痛い痛い!もう二人とも私の腕を引っ張らないで…!

「前回花子さんと入ったので、今回は藍さんと入ります…」

私はうんざりして、そう答えた…。

藍さんはおっしゃー!とガッツポーズをして…。

花子さんはすごいがっかりしている…。

グレモリーに聞いたら、すでにお風呂の湯は入れてあると言う。

さすが、グレモリー!さすが私の部下だけはある…。

というわけで、お風呂に入ることにした私であった。

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