三百六十六話 座薬

「ごきげんよう」「神のご加護を…」

朝の清冽な空気の中、女子生徒の挨拶がこだまする…。

学校の校門をくぐると、そこは身も心も清らかな乙女の園…。

そう、ここは神田ミカエル女学院…。

中庭の大天使ミカエル像が、通う女子生徒たちを守護している…。

天界の大天使ミカエルは、ここに通う女子生徒たちを見て何を思うか…?

その御心は、まさに神のみぞ知るということなのだろう…。

ここに三年間通えば、お淑やかなお嬢様になって卒業できるという…。

制服は翻さないように、静かに歩き…。

清廉潔白で文部両道、それでいて純粋無垢な心を持った乙女たち…。

この学院には、そういった生徒しか存在しないのです…。

否、今日から新たに校門をくぐった、たった一人の生徒を除いて。


冬休みに入ったとある日…。

女悪魔グレモリーの言いつけでサタン様に会うことになった。

寒い日が続くので、私は外出したくないんだけれど…。

ずっと炬燵に入っていたい〜。

それでもすぐにサタン様に会うように言われる…。

私はグレモリーの案内で一路新宿を目指すことになった。

山手線で新宿に向かって…。

どうにか新宿駅に着いたのだけれど…。

私はグレモリーとはぐれてしまって…。

迷子になってしまったのだ…。

新宿駅は広大で複雑な構造…。

初めてきた私はどうしようもなくて…。

しゃがみこんで泣いてしまうのであった…。


泣いていたら、銀髪のお姉さんが助けてくれて。

私が落ち着くまでと、喫茶店に連れて行ってくれる。

少し暗くて、落ち着いた雰囲気の喫茶店…。

私はお姉さんにココアをご馳走になって…。

すごい落ち着いたのであった…。

私たちは店を出て…。

お姉さんに新宿都庁まで案内してもらった…。

お姉さんは都庁で働いているらしく…。

なんとよく聞いたら秘書をやっているという。

サタン様も人間界では秘書をやっているらしく。

私はこのお姉さんがサタン様なのでは…?

と思い始めるのであった…。


お姉さん=サタン様は秘書室?に入った瞬間…。

態度が急変…。なにやらすごい怒っているらしい。

サタン様と私が魔界で会った時に何かあったらしい。

魔界のサタン様は巨大な邪竜のような姿で…。

サタン様が言うには会った時に私が不遜な態度で。

サタン様の逆鱗に触れてしまったらしい…。

そして、サタン様は私を丸呑みにして…。

食べてしまったらしいのだ…。


丸呑みにされた私は、中で消化されずに…。

サタン様のお尻からそのまま出てきてしまったらしく。

そのせいで、サタン様のお尻は痛くなってしまった。

サタン様は座ることもできず、怒っているらしい。

私はサタン様に全裸土下座をするように言われ…。

素直に謝るしかなかったのだ…。

サタン様のお尻を治すために…。

私は薬屋さんで座薬を買ってくる約束を…。

サタン様として、一旦部屋から出たのである…。


部屋から出てから私は持ち合わせがないことに気づく。

都庁のエントランスでどうしようと思っていたところ。

ちょうどよくグレモリーが現れた…。

私はグレモリーからお金を借りて…。

すぐに都庁から出て、一路ドラッグストアに向かう。

グレモリーと一緒だとアレなので…。

私は猛ダッシュしながらスマホを開き…。

新宿駅周辺のドラッグストアを探した…。

新宿駅の辺りに戻らなければ、いけないが仕方ない。

何件かドラッグストアがヒットする…。

マツ○○○ヨシでいいか…。

私は中央通りを抜けてドラッグストアを目指した。


久しぶりにダッシュで走ったので疲れた…。

でも、どうにかドラッグストアに着くことができた。

私は座薬を探す…。でもなかなか見つからない…。

しょうがない。店員さんに聞くか…。

少し恥ずかしいけれど…。サタン様が待っている。

私は近くにいた店員さんをつかまえて…。

座薬はどこですか?と聞いてみた…。

結構恥ずかしい…。

でも、さすが東京の店員さん…。

特に何もなく普通に場所を教えてくれた…。

私はグレモリーから借りたお金の範囲内で探す…。

ヨシ!これでいいか?

私は座薬のパッケージを持って、レジに並んだ…。

座薬を入れるとき、痛いとアレなので…。

一緒にスキンケアミルクも買うことにした…。


少し並んだけれど、無事座薬を買えた私…。

私は急ぎ、ダッシュして都庁に戻った…。

グレモリーがエントランスで待っていて…。

サタン様には会えたのですか?と聞いてくる。

私は会えたし、まだ話が終わっていないと伝え。

まだ、待っていてと言った…。

私はエレベーターに乗る…。

何階かは覚えていたので、その階に向かった…。

エレベーターがその階に着く…。

私は飛び出て、サタン様の部屋に行く…。

「サタン様!お待たせしました!」

私はドラッグストアの袋を掲げて部屋に入った。


「遅かったな!余を待たせるなんて万死に値する」

サタン様は、結構不機嫌で待っていた…。

「す、すみません走って薬を買ってきたのですが」

私は袋から座薬を出した…。

「それで、その薬はどう使うのだ?」

サタン様は人間界に来たばかりなので…。

座薬を知らないらしかった…。

「あ、あのこれはお尻に入れる薬で…」

私は恐る恐るそう言ってみた…。

「なにぃ!?これを余のお尻に入れるだと!?」

案の定、怒って驚いているサタン様…。


私は薬を入れれば、痛みが治り…。

座ることもできるのではと説得した…。

「もし治らなければ、また貴様を丸呑みだぞ!」

サタン様は怒りながら、そう叫んだ…。

私はどうしよう?と恐れたが…。

しょうがないので、サタン様に薬の使い方を教え…。

どうにか座薬を使ってもらうように説得した…。

「人間界の薬などわからぬが、使ってみるとする」

ようやくサタン様は座薬を使ってくれるようだ。

私は少し一安心するのであった…。

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