三百四十五話 うまいうますぎる

「ごきげんよう」「神のご加護を…」

朝の清冽な空気の中、女子生徒の挨拶がこだまする…。

学校の校門をくぐると、そこは身も心も清らかな乙女の園…。

そう、ここは神田ミカエル女学院…。

中庭の大天使ミカエル像が、通う女子生徒たちを守護している…。

天界の大天使ミカエルは、ここに通う女子生徒たちを見て何を思うか…?

その御心は、まさに神のみぞ知るということなのだろう…。

ここに三年間通えば、お淑やかなお嬢様になって卒業できるという…。

制服は翻さないように、静かに歩き…。

清廉潔白で文部両道、それでいて純粋無垢な心を持った乙女たち…。

この学院には、そういった生徒しか存在しないのです…。

否、今日から新たに校門をくぐった、たった一人の生徒を除いて。


あっという間に年末になり…。

期末試験も終わり…。

冬休みの前日の放課後になった。

藍さんは友達とカラオケに行くというので…。

藍さんと別れて、私は教室のドアを開けた…。

ドアを開けたら、そこには宮園花子さんがいた。

花子さんはこれから私を寮に招待したいという。

前もそんなことを言っていたから…。

今日こそは私を寮に連れて行きたいらしい…。

私は前も行くとは一言も言ってないのですが。

花子さんは問答無用で私と腕を組み…。

引きずるようにして、寮に連れて行くのであった。


学校の寮は、校舎の裏にすぐあって…。

すぐに寮に着いてしまった…。

古い洋館のような建物だった…。

あとで知ったのだけれど…。

神田ミカエル女学院の前身の学校の…。

校舎を改築して、寮に使っているそうだ。

改築はしているけれど…。

寮の建物は、ほとんど外装は変えていないらしく。

古めかしい旧校舎という感じだった…。

私はなんだか少し気味が悪いなという感想だった。

古めかしい洋館で、蔦が生い茂って絡まっている。

花子さんはこの寮に住みたくて…。

この学校を選んだそうだけれど…。

私はお金をもらっても、住みたいとは思わなかった。

そう思ったけれど、そのことは言わなかった。


私は花子さんに連れらて、寮の中に入った…。

寮の中は真っ暗で…。

灯りもあまり付いていなかった…。

どうにか目が慣れてきて…。

花子さんの部屋は3階にあるというので…。

暗い階段を登っていった…。

やっと3階に着いた…。

3階の廊下を歩いていると…。

私のスマホが振動しているのに気づいた…。

グレモリーからSNSのDMが届いてたのである。

グレモリーというのは今私がお世話になっている…。

女性悪魔の名前だ…。

グレモリーが書いている内容は…。

花子さんの生命エネルギーがとても低くなっているので。

私の力でどうか助けてあげてほしいという内容だった。

確かに花子さんと初めて会った時…。

あまり人には言えないようなやり方で助けてあげたのだ。

もう一度、それをやれと言うのだろうか?


花子さんの身体は生命エネルギーが乏しくて…。

身体が半透明に透き通ってしまっている…。

霊的な存在になってしまったのかと思って…。

私は最初怖がっていたけれど…。

花子さんは元々かわいくていい子なので…。

透き通った身体も綺麗だなと思い始めた…。

花子さんのお部屋に招待されて…。

遅くなったクリスマスを祝う私たち…。

花子さんは紅茶とケーキを用意してくれて…。

久しぶりに紅茶とケーキを食べた私は…。

美味しくて嬉しくなってしまった…。

チキンはなかったと言うので…。

(クリスマスはだいぶ過ぎているので仕方ない)

なんと花子さんは山盛りの唐揚げを用意してくれた…。

ケーキに唐揚げはどうなのだろう…?


「唐揚げ、私が作ってみたのですがどうですか?」

なんとこの唐揚げ、花子さんが作ってくれたという。

普通に美味しかったので、お惣菜の唐揚げかと思った。

「すっごい美味しいよ!お店のかと思ったぐらい…」

本当にジューシーな唐揚げで美味しかった…。

少し味が濃いけれど、私は濃い方が好きだから無問題。

うまい!うまい!うまい!この唐揚げうまい!

山盛りにあるので、私はひたすら唐揚げを食べた。

ケーキは後で食べることにしよう…。

すごい久しぶりに、手料理を食べれたので私は満足。

「お姉さま嬉しいです!ご飯もありますよ」

花子さんがお茶碗に盛ったご飯を持ってきてくれた。

花子さんが炊いてくれたであろうご飯…。

いただきます!ご飯もうまい!

私はお茶碗を片手に唐揚げをいっぱい食べたのである。


うぅ、結構お腹いっぱいになったぁ…。

とても美味しかった。余は満足である…。

こういうのでいいんだよ、こういうので…。

グレモリーの家だと、ほとんどカップ麺なんだもん。

カップ麺も美味しいけれど…。

私は手作りのご飯が食べたかったのかなぁ?

ちゃんと、花子さんの分の唐揚げをとっておいた。

というか、山盛りの唐揚げ全部は食べれなかったのである。

紅茶を飲み、デザートにとっておいたケーキを食べる。

一口先に食べてしまったけれど、致し方ない。

「お姉さまが喜んで食べてくれて、私感激です…!」

花子さんも唐揚げを食べながら、喜んでくれている。

よかったよかった、花子さんの笑顔見れて…。

あれ?私何か大事なことを忘れていない?

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