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「今が一番若いんだから」と言われても... 4/4

終わりに
老若と関係ない所で老若で判断されることへの違和感を述べてきたが、男性として生活している自分ですらそう感じるのであれば、女性として生活している人々はどうだろうと考えてみる。女性は美醜ならず老若も厳しく判断されている。姉にはあった「そろそろそういう歳だから」というお見合い話など来たこともないし、言いたくはないがどこかで聞いた「薹(とう)が立った」なんて言葉も私は言われたことがない(耳にしていないだけかも知れないが)。この言葉はもともと植物や実が食べ頃を過ぎたさまを例える表現であるので、とんでもない蔑視の言葉なのだが、人に使用される時は「年頃がすぎる」という意味合いで使用されるらしい。

年頃とは若い人に使われる。思春期や婚期と呼ばれる時期だろうか。そもそも婚期ってなんだよとも思うが、一般的に言われている20代から30代を婚期として用いるとする。婚期においては年頃とは言わず、にいい歳なんだからと言うように「いい歳」と表現されることもある。若者として扱われている人々も、こと婚期においては「いい歳」と老若の老のカードが配布される。このカードが配布されるタイミングは女性の方が明らかに早いし、しつこく言われるのも男性よりも女性だろう。この差分が、男性が生きているだけで履くこととなる下駄の高さとなる。

自分には今を生きている自分しか存在していないのに、老若が立場や環境で判断されコロコロ変わっていく。履歴書にはいまだに年齢と性別を書かされ写真を貼らされ住んでいる場所まで書かされる。常に年齢と性別と生まれ、美醜や肌の色までを判断され吟味されながら生きている。男性としての下駄の上からこのようなことを発言するのは、お前が言うなと思われるだろうし、滑稽なものかも知れない。

「今が一番若いんだから」という言葉の後に付随するポジティブな言葉たちは、「今が一番若いんだから」という前置きなく使用される方が何倍もありがたい。言葉を使う時には、その表現が、美醜や老若や性別や生まれや色のバイアスがかかっていないか、または強くそれを想起させないかを考えて発言することができればどんなにいいだろうと思うし、そうしていきたい。




「今が一番若いんだから」と言われても... 4/4

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