ちょっとタメになる海外生活ネタ④第二夫人も同じ家で一緒に暮らしちゃうエジプト
こんにちは。訪問ありがとうございます。
プロポーズは、ひと昔前は女子の憧れでしたよね。私にも、いつか王子様が来てくれるかもとイメージをふくらませてドレス姿のお姫様の絵を描いた少女時代がありました。
しかし、現実はそんなものではありませんでした。私は人生において3度プロポーズされたことがあります。しかし、その誰とも結ばれずに全くプロポーズされていない人と学費免除のために年度更新制で気軽に結婚してしまい、今に至ります。全くの若気の至りですね。
1人目はエジプト人、2人目はエチオピア人、そして3人目はメキシコ人でした。今回は、エジプト人と結婚しそうになった時のことを書こうと思います。
写真は、ギザでラクダに乗ったカルロス。私はラクダに乗るとコブが当たって痛いので見てるだけでした。
おしんが日本より流行っているではないか
フランスにいた頃、「航空券安いし近いし面白そう!」という理由でフランス→トルコ→エジプトにひとりで旅したことがあります。何も下調べもしないで無鉄砲に出かけました。
その結果、カイロでは非常に目立ってしまいました。アラブの国は、女性が肌を出しての旅はもちろんあり得ないし、道路に売りにくる生鮮品の買い物以外は外出する時も男性同伴が基本のところ。ツアー客はたくさんいましたが、アジア人の若い女性はひとりでリュックを背負って歩いているだけで好奇の目で見られました。
また、誰もフランス語や英語を話せないし数字すらもアラブの文字で書かれています。毎日がそんな感じで疲れてしまい、思いつきで海沿いの町、アレクサンドリアに移動。
そこでも私が歩くと人だかりができたのですが、そこでは人々が
「おし〜ん」
と叫んでいます。ん?おしんって何だ??
泊まっていたユースホステルで同室のエジプト人に聞くと、エジプトでは日本のテレビドラマの「おしん」が大流行しているとのこと。色白で髪を後ろに束ねていた私の姿は、主人公のおしんのイメージそのものだったようです。
小学生にナンパされる
そんな時に、
「うちに犬見に来ない?」
と、小学生男子に完璧な英語で声をかけられました。今までも、道ゆく人に
「結婚して〜」とか
「お金ちょうだい」
とか言われていたのですが、小学生だしエジプトの犬を見てみたかったし、何より英語が通じたので彼について行ったのです。
第一夫人と第二夫人が同じ家に住んでいた
犬を見たらすぐに帰ろうと思ったのですが、家に着くと彼の家族から大歓迎を受け、近くに住む従姉妹など親戚一同に紹介されました。エジプト料理でもてなしを受けました。
彼の通訳によると、彼は10歳で第一夫人の長男でした。彼の父親である主人、そして第二夫人と20歳長男アシュラフ、2歳の次男も合わせて6人がひとつの小さな家で暮らしていました。
夜、ユースホステルに戻りエジプト人女学生にこの話をしたところ
「それは私も聞いたことがない。法律で第一夫人の承認が得られれば第二夫人は持てることになっているが、別に家を持つのが基本。それはエジプトでも珍しい形の家族だと思うよ。私は、私だけを愛してくれる人と結婚したいな」
と言っていました。
すごく気が合った第二夫人とアシュラフからの猛烈アタック
もちろん、第二夫人とも全く言葉が通じなかったのだけど、彼女とはすごく気が合いました。エジプトにいる間、毎日遊びに行って一緒に料理をしたりアラブ語を教えてもらったりしました。最後の週はぜひと言われ、第二夫人の部屋に一緒に泊まらせてくれました。
「あなたが私の娘だったらどんなに素敵だろう」
彼女はそのようなことを毎日言っていました。
当時エジプトの女性の1日は、8時間睡眠、8時間料理や家事、8時間子どもの世話というように何も考えなくてもやることが決まっていました。日本では女性も社会で活躍しろと言いながら、女性の家事負担は変わりません。それならエジプトのようにお金を稼ぐことを求められないのはすごく楽で良いと思いました。
アシュラフからの猛烈アタックも始まりました。カタコトの英語ですが、お昼に自宅に戻って来て
「君に会いたくて戻って来た。君に会いたくて仕方なかった」
などと、ずっと目を見つめて手を握って言ってきます。
「君がいてくれるなら、僕は第二夫人を持たない。絶対幸せにするよ」
第二夫人であるアシュラフ母の娘になれるのなら、アシュラフと結婚しても良いなと段々気持ちが揺れてきました。
女性の地位の低さを、男尊女卑の世界を目の当たりにする
主人にも結婚を認められましたが、私は結婚せずにフランスに戻りました。迷っていた時に、この国の男尊女卑の世界を目の当たりにしたからです。
フランスに戻る前の日の夜、主人の命令で私はアシュラフと夜景を見に出掛けていました。
その時に6歳ほどの女の子がアシュラフに駆け寄って来て花を売ろうとしたのです。アシュラフは大声で怒鳴るとその少女を突き飛ばして、少女はボールのように道に転がりました。
そして少女は何事もなかったかのように立ち上がると暗闇に走って消えて行きました。アシュラフは満足そうな顔をしていました。
こうして私の最初のプロポーズも少女と一緒に暗闇に消えて行きました。
その2年後、カルロスと一緒にエジプトを訪れました。その時に入ったマクドナルドにいたのは男性ばかりだったのですが、男性に連れられたヒジャブを被った若い女性がいました。
私とカルロスがおかしな日本語でふざけていると彼女が近寄ってきて
「日本人の方ですか?もうずっと日本語で話していないので懐かしくて。わー。うれしい」
と、しきりに連れの男性の方を気にしながら小さな声で話し
「あ、私戻らなくちゃ」
と、丁寧にお辞儀をして戻っていきました。
あの時あの少女が来なければ、私もあのヒジャブの女性のようになっていたかもしれません。
あれから20年が経ち、女性の地位向上が叫ばれるようになってきましたが先進国であるはずの日本はまだまだです。
あの時花を売りにきたあのの少女は、エジプトでどんな景色を見ているのでしょうか。
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