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The Best Years

映画「離ればなれになっても」を観たら、とても良い映画だったので感想を記します。
(※後半は、後日書き足してネタバレありなので区切ってます。)

イタリアの映画なのかな?、英題は"The Best Years"、なんでそんな名前かといえば、ある3人の男友達と1人の女性の長い年月の物語だから。

ほんと人生の何もかもが入っている様な映画だった。軽いようでいて深いし、重厚なようでさらりと流れていく。終わりには、何か懐かしさを感じる良い映画でした。スノードームを思い出した。

年末年始に劇場で見るのも、配信などされたときにひっそりと見るのにも良い、人生のいろんな局面を思い出す味わい深い作品です。

知り合いが上映に関わっていたのもあって観に行ったけど、良い時間を過ごせました。


※観たのは日比谷シャンテシネマでした。

※こちらは映画の公式サイトです。トレイラーや、ストーリーが載ってます。

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(ここからネタバレ含みます)





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(追記:2023年1月3日)

見終わって、年末年始のばたばたの中でも、妙に心残るシーンがいくつかある。自分の人生と重ね合わせてしまうところなんだろう。映画では、人生の40年間でのありとあらゆる部分がギュッと詰まっていて、いろんな局面を思い出す事ができる。その一つづつの中のどこかに自分が居る。

青年期の自立と親への反抗や、青臭い性への興味も、何もかも燃やし尽くしそうな恋も、働き始めて社会の荒波に立ちすくむところも、何一つ理想通りに進まない不安だらけの将来も、唯一無二と思っていた友への裏切りも、生活に押しつぶされるロマンも、世代の違う我が子とのすれ違いも、ある時代では輝いていたものが後になって色褪せていくのも、苦い過去も含めて復活する付き合いも、虚像に囲まれた様な生活の中で依って立つものの存在も、(まだ終わりには遠い)自分の人生でも似た場面を想うところがある。

見ていてほろ苦く、でもどこか甘く感じるのは、ジェンマが引っ越し先からパオロに手紙を書くシーンや、ジュリオとジェンマがパオロに二人の事を告げるシーン。
時を経てどうにもならない事を前にして、自分自身をも納得させる様に行動してしまうような時間。少しでもちゃんとしようと礼をつくして、奇妙なやりとりを真剣に行うシーン。合理性から見れば無駄でしかないが、人間の矛盾を感じ、人の営みを感じる。
若く夢をもって働きはじめ、出会い、飛び上がるはずが何者にもなれずにみじめさのに沈むリカルドの姿に自分の老いへの不安を重ねて。
くじけそうになりながら、ひとつづつ教室で熱を入れてだんだんと生徒に影響を与えていくパオロに勇気づけられる。
幸せを求めて必死に成長しながら、幸せを見失ない、娘と自分の生家を尋ね、離れた友人と再び会い、救われていくジュリオの物語に「人間万事塞翁が馬」と思い出す。

切り取られた40年は、私の40年でもあった。2時間半のあっという間の人生だった。

END

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