11月26日の夢/最終話

第4話:レッカー

ともかく、車を移動しないと。

美容室に行った後、夫とお出かけする予定だったことを思い出した。

(まずはレッカーかな。)

そう思うとグーグルマップで近くのレッカー会社を検索する。

一番近くに出てきたのは鹿児島のレッカー会社。

「隣の県か・・・。でもここからは20分くらいかな。」

どうやら今現場は宮崎らしい。
そして、鹿児島との県境の近くのようだ。
夢とはいえ、我ながら設定に笑える。

レッカー会社に電話をする。

「今○○(←忘れた)というところにいるんですが、どのくらいで来れますか?」

「今の時間なら20~30分あれば行けると思いますよ。」

電話をしていると、近くにいた知らないおじさんが耳元で
「料金を聞いとけ」
と言ってきた。

誰だろう?と思いつつも、言われたとおりに料金を聞いてみる。

「そこまでは○○キロ(←忘れた)だから、往復分と、ご自宅まで運ぶ分で90キロですね。1キロ0.000004円だから…えっといくらかな?」

もはや夢だけど、1円の価値って何だろう?

よくわからないので、とにかく来てもらうようお願いした。

電話を切り、ふと車へ視線を移すと、一度に12台の車を運レッカーできる大型トラックが来ていて、私の車を勝手に釣り上げてトラックに載せているではないか。

「待ってください!それ私のです!どこに運ぶんですか!?」

驚きながらも声を張ると、スキンヘッドで強面のおじさんと、シルクハットをかぶりひげを生やし、タバコを吸っている怪しげなおじいさんが近づいてきた。

「金になるんだよ」

そういって私を囲み圧をかけてくる。

「返してください!早く下してください!」

すると、乱暴に扱われそうになる。

周囲に人がいたので私も大声で

「たすけてー!!!だれかたすけてー!!!!」

と叫ぶ。

すると、近くにいた貴女がやってきて、

「あなたたち、なにをしているんですか。いますぐやめなさい!」

と強い口調で言ってくれ、私はその場から解放された。

私の車もその場で返してもらえた。

レッカー会社の到着を待つ。

夫に電話をすると、電話の向こうに父と母と夫の3人が楽しそうにしているのがわかる。

私はこんなになってるのに。

それでも、進むしかないのだ。
夢だと分かっていても、夢から覚める方法がわからない。

レッカーを待ちながら、どうして疎遠になっているはずの父と母が一緒にいるのか、そしてさらにどうして夫と一緒にいるのか、そのことを考えていた。

するといきなり目の前が真っ白になった。

「もう行くよ~」と夫の声。

寝ている部屋の電気を夫がつけたことで、私は現実世界に引き戻された。

謎は謎のまま。


でもきっと未来につながる糸口があると信じて。

ーーーーー終わりーーーー

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