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99匹と1匹の羊

あなたがたの中に、百匹の羊を持っている人がいて、その一匹を見失ったとすれば、九十九匹を野原に残して、見失った一匹を見つけ出すまで捜し回らないだろうか。 そして、見つけたら、喜んでその羊を担いで、 家に帰り、友達や近所の人々を呼び集めて、『見失った羊を見つけたので、一緒に喜んでください』と言うであろう。(ルカによる福音書‬ ‭15:4-6)‬

100匹の羊がいた。青々とした草原と綺麗な水辺があり、何不自由なく羊たちはその中で守られていた。

ある日、羊飼いが100匹の羊を野原に連れ出した。野原に着いて、羊飼いは羊の数を数えた。99匹まで数え終えて、1匹の羊を見失ってしまったことに気が付いた。大変だ。どこではぐれてしまったのか。

羊飼いは大慌てで、野原に99匹の羊を残したまま、来た道を引き返し始めた。

藪の中や崖の端まで、羊飼いは必死で探した。狼に襲われていないだろうか。お腹を空かせていないだろうか。群れから離れて、心細くなっていないだろうか。

茂みの中をかき分け、進んでいく。いつの間にか羊飼いの手は、茨のトゲで傷だらけになっていた。

ようやく見つけた!

1匹の羊が、茂みの中でうずくまっていた。怯えた目で、震えながら。

羊飼いは、弱って立てなくなった、土埃で薄汚れた、その1匹の羊を背中に背負い、自分の家に連れ帰った。


羊飼いは失われた羊が見つかったことが、嬉しくてたまらなかった。隣近所の人たちを呼び出して、「一緒に喜んでください」というほどに。








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