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オススメ映画を紹介するよ! お仕事ムービー2選編

最近連続して見た映画が偶然お仕事を主題としたものでした。ということで、ちょっと比較しながら【ネタバレ全開】で紹介します。比べちゃっているので、一方をディスっているみたいになっていることを最初に謝罪しておきます。ゴメンなさい。

グッドバイ、バッドマガジンズ

志望していた女性誌とは正反対の男性向け成人雑誌の編集に配属されてしまった女性。ひと癖もふた癖もある編集者やライター、営業担当者たちに囲まれながら一人前の編集者として成長していくが、物語は思わぬ方向へと転がっていく。

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この映画、面白かったです。成人雑誌の編集という変化球な職種にもかかわらず、お仕事映画として十二分に楽しむことができたのは、大袈裟に言えば「滅びゆくものへの郷愁」が滲み出していたからだと思います。東京オリンピックを前に、コンビニで成人雑誌を販売することができなくなりつつある時代に、新入社員として配属された主人公は、衰退していくことが定められた業界で、奮闘するも、あくまでそれはもがいているに過ぎない、そんな悲壮さを背負っています。「エロって何?」とか「セックスって?」と問いかけ続けますが、結局は撤退を余儀なくされる。笑える場面もたくさんありながら、やるせなさがそれを上回ります。至って真面目に、そんなお仕事を語ったところが、この映画の良さになっているようです。成人雑誌編集を舞台に女性が主役ということで、ありがちなセクハラなどの場面もほとんどなく、恋愛関係も極力排除されているところもお仕事映画として評価できるポイントですね。

主人公の詩織を演じたのは杏花。直前に見た「余命一年の僕が、余命半年の君と出会った話。」で永瀬廉の友達を演じていました。本作では場違いにも見える成人雑誌の編集者として、最初は戸惑いながら、途中からは仕事どっぷりな詩織を的確に演じています。かなりどぎついセリフもありますが、ハマり役とも言える演技で、彼女じゃなかったらどうだったろう?と言えるほど。

もうひとつ言及しておかなければならないのは、ラストの場面。それまでのわかりやすい展開から、急激に変化球が投げられます。その振り切りぶりも良かったですよ。

スタートアップ・ガールズ

大学生にしてITと医療で起業を目指す天才肌の自由人・小松光と、大企業に勤め起業家への投資を行う安定志向のOL・南堀希。性格も服装も仕事に対する考え方も正反対の2人だったが、光の事業をサポートするミズキの計らいにより、新プロジェクトのビジネスパートナーになることに。光の身勝手な言動に振り回されてばかりの希は光を信じることができず、仕事にも行き詰まってしまう。ぶつかり合いながらも、ビジネスパートナーとして成長していく2人だったが……。

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連続してみたのでどうしても「グッドバイ、バッドマガジンズ」と比較してしまいます。まず舞台はスタートアップに関わる業界。もうこの辺りで地に足がついていないように感じてしまいました。勿論、そう言った人たちがいて、時代を動かしているのもわかります。でも、地べた付近で生活している我々(と言っていいのかな?)とは世界が違うんですよね。ましてやあの若さで起業とか、なかなか共感できない。だからせめて映画の中でもう少し説明する必要もあったのかな、と。光、南堀、ミズキら主要登場人物が、それぞれのプロジェクトでどのような役割をしているのかとか、ストーリーの中で伝えて欲しかったです。

そして、登場人物への共感性の不足。特に上白石萌音演じる光は、独特のキャラクターが魅力でもあるのでしょうが、ただ面倒で非常式な人と感じてしまいました。アプリのプログラミングを友人(?)に依頼しといて、うまくいかないと切り捨てるような場面もありました。アイデアだけはあるけど、他人を大切にできない人なのかって。南堀との交流で、徐々に変わっていきますが、本質は変わっていなかったような。山本耕史演じるミズキも、メフィラス星人かよって感じで掴めないキャラクターでした。

地に足がついていないと言えば、光の出すアイデアのキレのなさ、誰かの二番煎じ感もうーんと思ったし(まあ映画だからそんな凄いアイデアも出ないよね)、ラスト近くの講演会も人集めておいて短時間のスピーチで見にきた人納得するのか?って思ったり、リアリティに欠けていたような気がします。

終わりに

結局、お仕事ムービーって、どれだけ共感できるかということなんでしょう。人生の中で経験する職種なんて、ほとんどの人が一つか二つ。多くの職業についていたとして、スタートアップも成人映画の編集もやったことあるよ、なんて人はほとんどいないはずで。関わりのなかった仕事をテーマとして、2時間ほどの映画の世界を楽しんでもらうとしたら、どれだけ共感できるか。特殊な職種であっても、一般の「仕事」として誰もが納得するリアリティと、誰にでも共通する感情があれば、宇宙飛行士だろうがお蕎麦屋さんであろうが、その仕事の世界にどっぷりと浸かれるはずなんですよね。「グッドバイ、バッドマガジンズ」にあって、「スタートアップ・ガールズ」になかったのは、そういうところなんだと思います。

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