
地域おこしワークショップ「SONIアントレキャンプ」を開催しました
2022年10月21~23日、地域おこしワークショップ『SONIアントレ・キャンプ』が開催されました。
舞台は奈良県の東北端に位置する小さな村、「曽爾」。
黄金に輝く曽爾高原のススキを傍目に、参加者の皆さんには熱い3日間をお過ごしいただきました。
『SONIアントレ・キャンプ』
曽爾村は曽爾高原をはじめ、年間約50万人が訪れる観光資源にあふれる村で、村役場が主体となって、村内の産業振興に向けてさまざまな事業を立ち上げてきました。
しかし、村の中だけで物事を考えたり、行政主導の事業創造の取組だけでは限界があるかも、というような問題意識のもと、『地域外の、とくにバリバリ仕事をされている社会人や意欲ある大学生の方々のチカラをお借りして、埋もれている地域資源を掘り起こすことで、いままでになかった稼げるアイデアを産み出せるかもしれない。』そんな思いから、本プロジェクトを立ち上げることとなりました。
イベント概要はコチラ
今回は、「宿泊」「お土産」「アクティビティ」の3チームに分かれて、地域資源を活かしたビジネスプランを構築し、最終的に村長にプレゼンするというプログラム。限られた時間の中でどのような提案が出来たのでしょうか?
1日目「知る。」
東京や大阪など全国各地から10名の参加者がバスに揺られて曽爾までお越しいただきました。ガイダンスもそこそこにチームに分かれて、村内散策。
チームサポーターの案内で、はじめて出会うメンバーと共に地域内を回りながら、意見を交換しあいます。

また、各チームのテーマに沿った村内の事業者さんへヒアリング



「素晴らしい観光スポットが地域内に点在しているけれど、ハブとなる拠点的な機能を持った施設がないことがもったいない。」「今でも魅力的な取り組みが行われている。少しのきっかけで大きく効果が出る可能性は十分にある。」 といった、率直なコメントが印象的でした。
夜は「メンバーを知る。」
プライベートキャンプ場「TOPOS」にて懇親会が開かれました。トマト農家オニちゃんのスペアリブステーキを食べながら、チーム関係なく・メンバー/サポーターの垣根もなく和気藹々とした夜となりました。


2日目「考える。」
1日目にインプットした情報を共有。朝までに1日目の情報を紙にまとめてきていたり、クラウドで情報を共有したり、チームサポーターが事前にまとめた資料をさらに読み込んだりと、チームそれぞれの手法でブレストしていきます。
興味深かったのは、議論が1時間くらい経過してターゲット設定などに話が移りつつあるタイミングでは、「このチームは何のチームだっけ?」と思うくらい、村の根本的な課題から議論されていたことでした。ホワイトボードを使いながら、白熱したディスカッションが行われていました。



午後からも各チーム同士で情報交換をしながら、夕方に行われる「中間発表」に向けて準備を進めていきます。

(お土産チームはお昼からお亀の湯でブレイク(笑))
夕方からの中間発表では、今回「村外アドバイザー」として協力いただいた中川政七商店の安田さんに講評していただきました。
安田さんのコメントの中で「人の顔が見えない」という言葉が印象的でした。各チーム共に、村の課題の分析はしっかりとされているけれど、誰がどのようにその事業を行っているか、楽しそうな現場の絵を描けていないという部分を指摘されていました。
また、他地域の事例を参考にイメージを膨らませることが事業プラン構築の近道というアドバイスもありました。

お亀の湯でリフレッシュしたあと、各チームは会場に戻ってプランのブラシュアップ。少しアルコールを入れながら、お昼以上に白熱した議論に(笑)
深夜一時まで会場の電気が消えることはありませんでした。


3日目「行動する。」
3日目、宿泊チームは集合の1時間前から村内散策。前日の夜、話に上がった「ヒダリマキガヤ群落」を見学しました。実際に「榧の実」を拾い、その匂いをかぎ、現場の雰囲気を体感しながら、アイデアを練ります。

3日目のプラン作成は、12時まで。どのチームも、昨夜、深夜まで議論した内容を取りまとめていく作業から入っていました。
「『発散と集約』、話すときはとことんアイデアを膨らまして、まとめるときはまとめる。この手法がとても重要なんです。」と、参加者の一人。
最終発表前、村外アドバイザーの安田さんが会場に合流。各チーム共に事前に安田さんへプレ・プレゼン。最後の一分まで、プランのブラッシュアップに努めました。

最終発表
曽爾村の村長、副村長、企画課長へのプレゼンテーション。
宿泊チーム

現在の村内の宿泊施設を価格軸・サービス軸からセグメント分析しつつ、観光を日帰りとしてしまっている層をうまくキャッチするプランを発表。
古民家を改修しながら、100年かからないと実をつけないといわれる曽爾の特産物のカヤの実を活用し、女子旅などに人気となりそうな素敵なお宿を提案してくださいました。
お土産チーム

お土産の定義から再構築。お土産を配り物としてではなく、曽爾村と観光客を継続的に結び付ける役割を担わせるツールと位置付けて、モノではなく、コトをお土産として提供してはどうか、というプランを発表。
都会の日常と地域の日常が異なることに着目し(中川政七商店・安田さんの講評の中では「異日常」と表現されておられました)、村で当たり前に行われている味噌づくりなどをワークショップ化して、その体験を売り出すプランなどが提案されました。
アクティビティチーム

村の人々のチャレンジ旺盛な点に着目し、チャレンジしたい人が集う村にするために、様々なチャレンジアイデアを発表。
日本ではまだ普及していないアイソレーションタンクを曽爾村に置いてみるアイデアや、耕作放棄地を有効活用するための棚田オーナー制度、そして高所得者層の幼児・児童教育熱の高まりを背景に、曽爾村の自然をフル活用した子供特性分析サービスなど、多様なアイデアが発表される中、それらの取組を裏から支えるバックオフィス機能提供サービスでの起業アイデアも合わせて提案されました。
うれしいことに、発表の中では「今後実際に曽爾で起業したい!」という声もあり、それを受けて、会場は少しザワザワ(笑)。
また「思った以上にガチ目のワークショップだったけど、逆に達成感があった」との声も聞かれるなど、非常に満足していただけたようです。

イベント終了後も、会場でのガヤガヤは止まりません。各々、今回のワークショップで体感したことの共有、今後の取組みにむけて話が盛り上がっていました。


2泊3日のワークショップでしたが、今回検討されたプランはどれも魅力的なものばかり。また、2泊3日の時間を共有した今回のご縁も特別。
「ワークショップをした」だけではもったいない。今後、どのような形になるかわかりませんが、「継続的なつながり」に発展させられるよう、仕組みを考えていきます。