田舎暮らしの話

 こんにちはこんばんは。私です。

 先日、私の後輩職員が依願退職をしまして、そこでふと私も岡山県に赴任して4年たつのかぁ、と。

 私が住むのは岡山県の吉備中央町南部にある吉備高原都市という人工都市です。都市とはいっても、バブル前後に建設されたものの財政悪化などから建設がとん挫した街でもあります。計画人口7000人に対して、2000人ちょっとしか住んでいません。

 一部の区画は私の勤務先や黒川紀章氏がデザインした総合センターなど家が並びますが、後期計画で策定された地区は家もまばらで寂しい雰囲気です。

 寂しさはいろいろありまして、岡山市内とを結ぶ中鉄バス、高梁市内とを結ぶ備北バスとも一日数本、鉄道は無し、バスも片道で1000円を少し超えます。自家用車がないと楽しくありません。自家用車があっても楽しくないのですが。

 楽しいことももちろんあります。地域とのつながりはわりかし強いと思いますし、農協の直売所の野菜はでかくて安いです。

 しかしながらです。私のような男の一人暮らしでは持て余すサイズでもあります。なんだかんだ4年暮らして思うところは、家でのんびり過ごすにはいいところなのでしょうが、ちょろちょろ動き回りたい私のような人間は退屈極まりない。カフェでコーヒー飲みながら、ちょろっとお散歩して、この建物なんだろう、あっ、こんなところにこんなのがある!というのを楽しみたい私には向いていないようです。

 なにせ、30分歩いてたらうっそうとした山に入り、コンビニはなく、スマホの電波も心もとなくなってくる。車で走るとあっ!て思っても止まれない。

 少し前からでしょうか。田舎暮らしのススメや、田舎暮らしはいいよという風潮があります。ただ、安易に田舎暮らしをするのは私は勧めないでしょう。やむにやまれず、私は田舎暮らしをしていますが、料理スキルはなく男の一人暮らしでは田舎暮らしはコストがかさみます。

 インターネットも安いとか高いとか選べません。2年前くらいから勤務先ではスマホの電波改善が行われましたが、自宅では室内ではアンテナは立ちません。Wi-Fi万歳です。ショッピングには車で1時間です。アマゾンなどのネット通販があって本当に良かったと思うくらいです。

 なんだかご飯作る気分じゃないなぁ、牛丼屋いこっかなぁで60分車を走らせないと行かんのです。勤め始めは元気もありできましたが、だんだんしんどくなってきます。消防団に入ろうよとか、地域の運動会出ようとかいろいろ話もありますが、みんなでワイワイやるのが好きじゃない私はなかなか苦痛でもあります。友達を呼ぼうにも、公共交通機関が瀕死なので迎えに行き、飲みに行こうにも店は選べず、酒のあてを買おうにも買える場所が選べない。

 そりゃ、自然も豊かですし、野兎とかイノシシとか見れたり、星が抜群にキレイに見えたり、霧が立ち込めれば幻想的で雲海も見れます。これは素晴らしいことですし、自慢できることでしょうが、これも日常になると幻想も薄らいで現実となりましょう。

 私の地元も大概田舎で、幼いころなどは田んぼの傍の柿の木から柿を頂戴してたり、川で亀を捕まえたり、家にヤモリを連れ帰って母を卒倒させたりしたものですが、世の中が便利になりすぎた結果、田舎には田舎の生活も薄らぎ、逆に選択肢の少ない田舎は薄給の私には生活がしにくい印象です。

 学生時代に京都で暮らし、スタイルや場所に合わせて鉄道などの公共交通機関でさえも選択できた環境にいると、これはなかなか・・・とも思いました。

 依願退職した後輩も、埼玉県から赴任してきた人間です。東京都の大学を出て、採用されて、吉備高原都市に赴任してきました。そして私は運よく自家用車を持ちましたが、彼は車を持っていません。これもつらかったのでしょう。

 家族連れで移住して、時に家で野菜を育てて、近隣住民と意思疎通をして村八分に合わないような人などは安く楽しい田舎ライフが過ごせると思いますが、私にはむつかしそうです。

 なんだかんだで私の職場も転勤族な組織。あと何年ここにいるかはわかりませんが、例えば、サラリーマンを引退すれば吉備高原都市は良い街だと思います。それは強く言えます。ただし、免許を返納すればどうなるか。わかりません。

 買い物などはクレジットカードとインターネットがあれば解決できますが、移動の自由は失われかねないでしょう。

 田舎の非日常は非日常であるから楽しくて、ワクワクできるのです。この非日常が日常となったときに対応できるか、なのでしょう。むつかしいところです。

 

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