30歳男性が(G)I-DLEに沼った話
突然だが、(G)I-DLEというK-POPアイドルをご存知だろうか。
2018年にCUBEからデビューした5人組の韓国アイドルグループで、当時からチャート上位を獲得し実力派アイドルとして知られている。2023年5月にリリースされた「QueenCard(퀸카)」がMV再生回数3億回を突破、「THE FIRST TAKE」にも出演し日本での知名度·人気も増してきているが、音楽番組やテレビの出演などはほとんど無く、日本での積極的な活動は少ない。
この記事は、そんな(G)I-DLEを2022年の忘年会で職場の後輩から教えてもらったことを皮切りに沼生活をスタートさせ、2023年9月27日のワールドツアー日本公演に参加して声を枯らすほど叫び散らすまでに至った、1人の男の記録。
※ライブレポではないので、セトリなどの詳しい情報は記載しない。テンションが上がりすぎて情緒がおかしい気持ちの悪い感想なのであしからず。気持ち悪かったら素直に気持ち悪いとコメントして欲しい。
(G)I-DLEとの出会い
僕が(G)I-DLEを認知したのは先述の通り、後輩から教えてもらったことがきっかけである。忘年会がその後輩と初めて職場以外での交流ということもあり、趣味や私生活などの普段話していなかったパーソナルな話の中で、韓国アイドルの話題になり、オススメのアイドルを教えてもらった。それが、(G)I-DLEである。
もともと韓国アイドルには興味はあった。中学·高校生時代はちょうどK-POPの日本での黎明期、BIGBANGや東方神起などが一世風靡していた。その中でも、BIGBANGと2NE1が好きで良く聴いていた。というかそれ以外にはあまり興味がなかった。この2組の所属事務所であるYG Entertainmentの、圧倒的歌唱力、アイドルの概念を越えるヒップホップ、セールスプロモーションに惹かれていた。しばらくして日本での活動及びグループでの活動が少なくなるのに比例し聴かなくなり、10数年が経っていた。
忘年会後、早速YouTubeで視聴。(G)I-DLEとのファーストコンタクトは「TOMBOY」。
アイドルと思えないほど強めのメイク、低音が重く響く音楽、Fワードを入れる潔さ。
BIGBANG以降の10数年で上書きされていた僕の中の"アイドル"が砕け散った。
みんながみんな似たような顔に似たような声、ナチュラルに見せかけた童貞受けしそうな清純メイク、何番煎じかわからない恋愛ソング。
初見で衝撃を受けたのは、なによりもグループのリーダーであるソヨンのビジュアルと歌唱である。真っ黒にしたアイメイクからの高圧的で切れ長な強い視線、艶やかなワインレッドのリップ。一度聴いたら忘れられない、乾いて鋭い声色のラップに惹きこまれた。
偏見が全て覆される衝撃を受けたが、当時は良いアーティストを教えてもらったという軽い気持ちでファンになるまでには至らず、そこからしばらくはApple Musicのプレイリストに追加した曲をランダムに聴き流す程度だった。
LIKEではなく、LOVE
翌年4月、学生時代からの友人夫婦宅に招いてもらい、遊んでいたときのこと。友人が、数年前から韓国アイドルにハマり、家事の合間や寝る前にYouTubeで垂れ流しているという。Tomorrow by TogetherやNew Jeansなど一頻りオススメをされた後、そういえば(G)I-DLEをこの前後輩に教えてもらったとこちらがオススメした。
かなり飽き性なので、時間をあけて改めて見ると当時の興奮が嘘みたいに冷めていることが多いのだが、あらためてTOMBOYのMVを見ても、やはり他のアイドルとは一線を画す何かを感じる。オススメされたアイドルが爽やか寄りなテイストで、余計に(G)I-DLEのギラついた曲が響いたのかもしれない。
僕がこんなにも興味を持てるのは珍しい。これはもうただのお気に入りのアーティストの中の一組ではなく、(G)I-DLEとして好きなのではないか。そう感じてしまうと、目が乾くほど調べ、YouTubeに上がっている動画をなめ回すように見漁ってしまう。
あっという間に1ヵ月が過ぎたころ、6th EPの「i FEEL」が発売された。ちょうど仕事が地獄のような繁忙期で気が付いた時には2週間ほど経過していた。
タイトル曲の「QueenCard」と「Allergy」を聴き、完全に恋に落ちた。いや、正しくは、薄々気付き始めていた潜在的な(G)I-DLEへの情熱を自覚した。
「Allergy」で自分の容姿に自信が持てない女性の気持ちを、それに続いて公開された「QueenCard」では、どんな見た目をしていても自分に自信を持つことで誰でも輝ける、周りからも愛されるということを歌っている。曲自身の良さもさることながら、強いメッセージ性、コンセプトが一貫されたMVとデザイン。そのどれもに心を奪われた。
LIVEに行こう
そしてさらに昂った感情を後押ししたのが、ワールドツアー日本公演決定の情報。よほど気持ちに余裕がないと、どれだけ好きなアーティストでもライブには参加していなかったが、30歳にして再びアイドルというジャンルに興味を持てた喜び、今まで忘れていた世界への好奇心、BIGBANGを聴いて過ごした青春の思い出が、ライブに行きたいという思いを加速させた。
ただ、仕事で5年ほど継続していた商流が丸っきり変わってしまったことによる整備や増え続ける受注に時間を取られ、プライベートではマイホームの購入によるローンがのし掛かったり、建築が佳境に入り登記や住所変更などの事務処理が立て続けに発生し、公私ともに嬉しい悲鳴をあげげていた。ライブに行きたい気持ちは日に日に増していく一方、気持ち的な余裕もだんだんとなくなっていき、MVや過去に出演した音楽番組を観て少しでも悶々とした欲求を抑えているうちに、FC会員先行応募が始まった。
果たしてこのままライブに行かず、少しでも余裕を持って仕事に臨むのか。いや。ここでなにもしなければ、きっとこの喜びや興奮は失われてしまう。日本の活動が少ない中、ワールドツアーが開催されるのはこの先あと何回あるだろうか。ここでなにもしなければ、きっとこのことを後悔し続けるに違いない。
些細な葛藤を続けたが、ついに応募する決意を固めた。すぐにFCに入会し二日開催の中の一日だけ、僕と妻の2枚で応募した。これで外れたら仕方がない、未練がなくなり仕事や迫るマイホームの準備に集中できるだけだ。そもそも会場が約3000人キャパと狭く、一般認知度は少ないとはいえ韓国ではトップの人気を誇る(G)I-DLE。当選するのはほぼ奇跡に近い。当たっても外れてもいい、(G)I-DLEのために"なにか行動した"という証明の、記念応募だった。
そう、記念応募だったのだが、当選発表日に届いたのは「第一希望のお席をご用意致しました」という案内とチケットの発券方法が記載されたメール。まさかの当選、しかも第一希望にしていたFC会員限定プレミアムチケット。会場への優先入場とステージ前ブロック確定、シークレットグッズの配布、さらにはメンバーとのMeet & Greet特典付きの「プレミアム」という名を冠するに相応しい内容である。
ライブに行ける。この目で(G)I-DLEを見れる。しかも一番良い席で!
それが決まってから、すべての行動は早かった。
ホテルと交通の確保、タイトル曲含めた全曲の予習、ペンライトの輸入、メンバーであるウギが好きなNBAのレジェンド、レブロン・ジェームズのレプリカユニフォームの購入、などなど(なぜウギピンポイントなのかは後述)。
まだまだ"にわかファン"だが、(G)I-DLEやデビュー当時から応援し続けているファンに対して失礼がないように、後悔せずに全力でライブを楽しめるように、できる限りの準備を進めていた。
YUQI推し
当選してから最も急いだのは「推しメン」探しである。というのも、(G)I-DLEを本格的に好きになってたかだか1ヵ月、当選発表からライブ当日まで1ヵ月半。グループへの解像度を高めるにはあまりにも期間が短い。ということで、まずは誰か1人を深掘りしてそこから拡げることにした。YouTubeやWeverseなどを観ていく内に、見つけた推しが「YUQI(ウギ)」である。
1 the K
きっかけは、1 the Kという韓国の人気アーティストのMVなどを配信しているYouTubeチャンネルで、その中の企画のひとつである「LEARN WAY(ラーンウェイ)」というシリーズ。LEARN WAYとは、ざっくり説明すると「アスリートや美容師、アナウンサーなど様々な業界のプロを先生として迎え、アイドルが挑戦する」という企画である。たまたまオススメ動画で流れてきたこのシリーズのシーズン1にウギが出演しており、まんまとドハマりした。
ウギのアイドルらしからぬ芸人のような立ち回り、天真爛漫に見えるが頭の良さが垣間見えるコメント、自分への絶対的な自信。「共演者に守られながら御輿を担がれチヤホヤされる」アイドル的な扱いをされない、アイドルという立場に甘んじない振る舞いのウギの事が好きになった。LEARN WAY各回の内容については本筋から外れるため割愛するが、好きな回をいくつか紹介するので、是非観て欲しい。総集編含め41本の動画が公開されているが、すべて20分以内なので気軽に観れると思う。
運命?
あと2つ、きっかけがある。先に言っておくが、自分でもバカで子供っぽい理由で気持ち悪いなと思っているので、気持ち悪かったら素直に気持ち悪いとコメントして欲しい。
ウギの一番好きな動物が「キリン」であるということ。僕はSNSやゲームのプレイヤー名は「キリン」を用いている。伝説上の生物でも大手飲料メーカーからでもなく、細身で身長が高いという特徴から、動物のキリンをハンドルネームとして愛用している。
そしてもう1つが、プロバスケットボールリーグの最高峰であるNBAで、マイケル·ジョーダンと並び伝説と評されるレブロン・ジェームズ(以下レブロン)のファンだということ。なぜウギがレブロンを好きなのかというと、レブロンが主に着用しているユニフォームの背番号が23番、ウギの誕生日が9月23日で、シンパシーを感じているのだと思う。僕自身もレブロンが好きだった。前述の理由もあいまって、ウギに対して一気に湧いた親近感が、「好き」という感情に飛躍したのである。
運命というにはあまりにも大袈裟な表現だと思うが、必死に情報を集めてテンションが上がりまくっていた当時の僕は、この些細な共通点を運命だと感じてしまった。
ライブTシャツを着て参加しようと思っていたが、せっかくMeet & Greetがあるのなら、推しの記憶に少しでも残るようにしたいという浅い考え溢れる推しへの愛ゆえに、レブロンが所属しているNBAの名門ロサンゼルス·レイカーズのレプリカユニフォームを購入した。さらに、レイカーズのチームカラーてあるパープルとイエローのネイルをし、パープルが使われているスニーカーも揃えた。好きなことにはお金を厭わないオタクの悪い癖が出てしまっている。
いざLIVE
こうして楽しむ準備を進めていく内に、あっという間にライブ当日を迎える。
スニーカーは写ってないが、フル装備ライブ参戦服。色落ちと夕方の薄暗さで分かりにくいが、ちゃっかり髪も紫に染めた。
冒頭でも書いたが、この記事はライブレポではなく「(G)I-DLEにドハマりした気持ち悪い男性の気持ち悪い感想」なので、以下はライブで思ったことを書いていく。気持ち悪かったら素直に気持(以外略
ステージ前から3列目、引くくらい近くてウインクや舌ペロ、曲中の細やかなパフォーマンスからファンサまですべて肉眼で見えて、にわかがこんないい席で申し訳ないという気持ちと同時に、本当にあの時応募して良かったと実感した。
ミヨンは他メンバーのトーク中も常にファンサに応じていて最高、ミンニとのオンニラインで日本語で漫才のような掛け合いのMCを披露してて最高、パフォーマンス中のカリスマ性が光るソヨンとトーク中のお茶目なアイドル感満載のソヨンのギャップが最高、シュファは本当にマンネなのかと思うほどセクシーさ、1年経った今でもシュファのソロダンスパフォーマンスが最も色鮮やかに思い出せるくらい鮮烈で最高。そして最後のMeet &Greetでウギにレイカーズのユニフォームをアピールしたほんの数秒間で「Yeah~~!」と笑顔で反応してもらえた時の感動。そのすべてが間近で見れる悦び。ライブ中、ミヨンとウギと目が合い手を振ってくれたのは、きっと見間違いでも気のせいでもなく、その時確かに僕のことを認識してもらえていた。もはや運が良すぎたとしか言えない。メンバー全員がすべて日本語でMCをしてくれていて、ウギにいたっては堂々とカンペを見ながら慣れない口調で噛みながらも頑張っていて、日本のファンのことを本当に想ってくれているんだと思うと、「尊い」「最高」というIQの低い言葉しか出てこなかった。
早口で喋る興奮したオタクみたいになってしまったが、初めてのライブ参戦は歓喜と感動の中で幕を閉じた。
それまでと、これからと
ライブが終わってからも、もちろん活動を追い続けている。むしろ拗らせ具合が悪化好きだという感情がさらに大きくなっている。
2ndアルバムの「2」、7th EPの「Klaxon」、ウギのソロデビューアルバム「YUQ1」、メンバーが出演している番組やYouTubeチャンネル。そして(G)I-DLEをきっかけにK-POPへの興味が拡がり他のグループも追いかけおり、歴は浅いものの、順調に立派なK-POPファンに育ちつつある。
2024年8月31日、9月1日に有明アリーナで開催されたワールドツアー日本公演にも応募し、両日ともに当選する豪運を発揮するも、喉に膿瘍が出来てしまいライブ1週間前に入院、前日になんとか退院。全快とは言えないがなんとか間に合って安心した矢先、台風10号の影響で関西から東京への交通手段が断たれ、泣く泣くすべてキャンセルをした。
韓国アイドルは、事務所との契約が7年らしい。(G)I-DLEは現在7年目を迎えている。契約延長がなければ、もうグループとして直接見れる機会が無くなってしまうかもしれない。
(G)I-DLEはこれまで、セルフプロデュースで自分たちのしたい音楽を作り続けてきた。イージーリスニングが主流になっても、その流れをぶち壊すかのように発表された「Super Lady」。
突然MVが公開されたかと思えばアイドルらしからぬバイオレンスな描写で、R指定をされた「Revenge」(R指定のためリンクを貼ってもそのまま表示されず普通に検索してもヒットしないので、YouTubeの(G)I-DLE公式チャンネルからMVを探して欲しい)。
ハードな曲を出したかと思えば、「Klaxon」は全くテイストの違うポップなサマーチューン。このMVはタイで撮影が行われたのだが、あまりの日差しの眩しさに終始ミヨンが半目になっているのが可愛い。
流行りや形式にとらわれずに、「(G)I-DLE」を貫いてきた彼女たちが解散してしまうならと想像するだけで、言葉だけでは言い表せない喪失感に苛まれてしまうが、これまでの彼女たちの活動から見える芯の強さを思うと、解散という選択も、潔くてカッコイイなと思う。
(G)I-DLEを続けるにしても解散するにしても、僕は最後まで応援し続けていく。
おわりに
ここまで読んでくれている奇特な方は、居るのだろうか。もし居たら、本当にありがとうございます。まさか7000字近くになるとは。
偉そうに語っているが、(G)I-DLEの存在を知ってから、たかだか2年に満たない。ファン歴が浅いことを免罪符にしようとはこれっぽっちも思っていないが、まだまだ理解度が足りず、誤解を与えてしまうかもしれない。もしデビュー前からのネボボがこの記事を読んで憤りを感じてしまったら、申し訳ない。
元メンバーのスジンを踏まえた「NXDE」や「Revenge」についても、(G)I-DLEを(G)I-DLEたらしめるコンセプトがあるので書きたかったが、いかんせんセンシティブな話で、僕自身スジンが居た時のことも当時の状況も知らないので、さすがに地雷を踏み倒してしまいそうなので、控えている。
何が言いたいかというと、今だけを切り取って見える(G)I-DLEが好きなわけではなく、過去の経緯と今の(G)I-DLEに至るまでの経緯も含めて(G)I-DLEが好きという気持ちはリアルガチなので、多少の語弊と解釈違いは許して···。マジで。
というわけで、本当の本当におわり。
最後まで読んで下さり、ありがとうございました。
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