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今週読んだ、本とか映画とか日記とか

今週は、本2冊、映画1本、日記、を読んだ。

1冊目は、

『エレクトリック』千葉雅也

千葉さん小説の3部作の3作目らしい。
1作目の『デッドライン』は読んでいたが、2作目の『オーバーヒート』は未読という状況。

そもそも、千葉さんの本は、小説よりも『勉強の哲学』『現代思想入門』といった人文系の本の方が馴染みがある。

まあ、そらそうだ。大学の先生、研究者なんだから。
小説の内容としては、宇都宮に住む高校生が主人公で、自伝的な内容になっているとか、いないとか。

以下に小説で気になった箇所。


 都内のそういう公園のリストが見つかった。公園内のどのトイレがそうなのか、何時頃人が集まるのかも説明しているホームページを見つけた。そうして達也は、ゲイの「ハッテン場」というものを知った。  
東京の地図でハッテン公園に印がつけられている。二十三区に集中しているが、周辺にも散らばっている。普通の人は、東京がこんなことになっているとは思いもよらない。これは影の地図だ。  東京とは実は、深夜のハッテン公園を結ぶあやとりの線で囲まれた領域なのだ。  普通の人には見えない地図がある。もうひとつの東京がある。それは前から存在していたが、達也はいま、それを知ったのだ。しかし、自分がそちら側の人間なのか普通の人なのか、いまだによくわからないのだった。

『エレクトリック』千葉雅也 p79

自分の住んでいる街に、もう一つの地図がある。
自分の住んでいる街なのに、その地図を通して見る街は、違って見える。
こんな経験することはなかなか無いだろう。

歴史を辿ることはあったとしても、自分の今現在住んでいる街が、現在進行系で違う顔を持っている。試しに、自分も住んでいる街を同じようにして検索してみた。

あれ?ここってあそこやん…通ったことのある場所が違って見える。
違う世界が広がっている。自分の知らない世界。

ちょうど、読み始めた日、
千葉さんのツイートで、本作が芥川賞にノミネートされたことを知った。

3度めのノミネート!今度こそ受賞なるか?
もし、受賞が決まったら、

『現代思想入門』で2023新書大賞。
『デッドライン』で芥川賞受賞ということになる。

こんな組み合わせを同じ年に取った人っているかな…。。

すごいな。
発表は、7月19日だ。

kindle版


2冊目は、
『短歌のガチャポン』穂村弘

先週読んだ、『彗星交叉点』が、かなり良かったこともあって、
穂村さんの他の著作が読みたくて、本書を手に取った。

穂村さんが選んだ短歌が載っている。
それに対する穂村さんの感想、解説もあり、という本。
帯には、「令和の百人一首」というフレーズ。

気になった短歌をいくつか紹介する。

・当時7才の少女の作品らしい。すごくいい感じ。

おふとんでママとしていたしりとりに夜が入ってきてねむくなる
松田わこ(2002~)『リコピンがある』

『短歌のガチャポン』穂村弘 p44


・たしかに… 別格だ、異質だ。

自販機のなかに汁粉のむらさきの缶あり僧侶が混じれるがごとく
吉川宏志(1969~)『石蓮花』

『短歌のガチャポン』穂村弘 p146


・青春の風景が浮かんでくる。

水鳥のはばたきのごといっせいに少女らが傘ふるう玄関
入谷いずみ(1967~)『海の人形』

『短歌のガチャポン』穂村弘 p157


・生きとったんか〜い!

あの友は私の心に生きていて実際小田原でもいきている
柴田葵(1982~)『母の愛、僕のラブ』

『短歌のガチャポン』穂村弘 p160

kindle版


次は、
映画、『最後まで行く』監督:藤井道人

俳優陣も豪華だったのでけっこう楽しみにしてたんだけど、
良かった〜!!とはならず。。
Filmarksでメモした内容を、以下にそのまま貼る。

藤井道人監督の作品ということで観に行くことにした。
観る直前まで韓国映画のリメイクということを知らなかった。

まぁ、別に原作を事前に観ておく必要もないので、そのまま鑑賞した。

結果、原作を知らない上での感想は、もっと振り切っても良かったのはではないか?という感想。

出ている役者陣は、過去の藤井監督映画にも出ている一流の役者陣もいたが。
シリアスなのか?コメディなのか?ハラハラドキドキ感も途中で切れてしまうように思えた。

時折、笑ってしまいそうな演出が、勿体ないように思える場面も。
一方で、原作は、どんな映画なんだろうと思った。原作映画も観てみたい。


そして、
日記。


ふらっと丸善(本屋)に立ち寄って、本棚を眺める至福の時間。

そこで気になった本、『読書の日記』阿久津隆。
日めくりカレンダーみたいな分厚さ。でも小さい本。

結局、本は買わなかったが、この日記が週一回配信されていることを知ったので。
月額で申し込んでも良かったが、取り敢えず単発でnoteで買った。

阿久津さんは、本の読める店fuzkue というお店の店主らしい。
ぜひ行ってみたい。


また、
大好きな映画監督、三宅唱さんの文章があったのもポイント。


阿久津さんが、読書にまつわる日々の日記を記されているようだ。

日記の一部を紹介。

食後、もう一本ビールを飲みたかったこともあり、それからあと2000歩で今日も1万歩になるということもありコンビニに行った。本当にうっすらとだけ雨が降っていて傘はささなかった。珈琲館から帰るときは肌寒く感じた空気は今ではちょうどいい塩梅で、心地よく、遠回りを繰り返しながら歩いた。すると1万歩に乗ったので満足した。今月は平均1万歩近くになっていて、これまでの月を見ると5000歩から7000歩が平均となっているからずいぶん多い。そう思いながら「1万歩」みたいな言葉で検索をすると「1万歩歩くのはむしろ」みたいな記事がいくつもヒットし、濡れたアスファルトの上を歩くサンダルはひとつ歩くごとにペタッ、ペタッと執拗に音を立てた。
ネガティブな事象は引力が強い。そのことばっかり考えてしまうのは、本当のところそのことを考えたいからなのではないか、とネガティブなことについてしばらく考えてから思った。本当に見るべき問題、解くべき問題から目をそらすための格好の材料に飛びついているだけなのではないか、と歩きながら思った。傷口を自分の指でえぐり、決して塞がらないように傷をつけ直しながら、ほら私はまだ怪我をしている、ほら私はまだ傷ついている、と喜んでいるようなそういう状態。

読書の日記 6/11日  
本の読める店 fuzkue


丸善で見たのは、過去の日記が単行本になったもののようだ。
欲しい。。


散歩のお供


夜の散歩で、最近全然聞いてなかった、『超相対性理論』を聴く。


コテンラジオの深井さんが外れて初めての回。
荒木さんと渡邊さんとゲストと3人の鼎談方式。

ゲストは、近内悠太さん。
「思いがけずアナキズム」の回。

アナキズムって、正直、言葉しか知らない。

アナキズムよりもラッパーのAnarchyの方がよく聞くし、、
いや、今はそうでもないか…

まぁ、でも、言葉は知っているがよくわからない程度。

鼎談で語られた、アナキズムは、
自分が印象として持っていたアナキズムとは、良い意味で違った。

なんか優しい。

その3.での近内悠太さんの引用が気になった。

エドワード・オズボーン・ウィルソンという進化生物学者の言葉。

ホモサピエンスとは、どんな存在かというと、

石器時代からの感情と
中世からの社会システムと
神のごときテクノロジーを持っている存在がサピエンス。

『超相対性理論』



あと、鼎談の中で印象的だったことば。

「一緒に大切な時間を無駄使いする。」

『超相対性理論』



おわり。

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